クロスバイクとロードバイク、結局どっちが良い? 違いや特徴を自転車ジャーナリストが解説
新生活に向けて自転車を新調する人が増えるこの時期。シティサイクル(ママチャリ)しか知らなかった人にとって、軽くて速く走れるクロスバイクは魅力的に映ることでしょう。そして、調べているうちに知るのがロードバイクという存在。
一見ハンドル以外大きな違いがないようにも思えますが、何が異なっているのでしょうか。それぞれの特徴を見ていきましょう。

ロードバイクは主に競技向け、クロスバイクは街乗り特化型

ロードバイクは、サイクルロードレース用の競技自転車のことを指し、その昔はロードレーサーと呼ばれていました。世界三大スポーツイベントの一つ、ツール・ド・フランスでプロ選手たちが乗っている自転車がこれに当たります。トップカテゴリーのレース用機材でありながら、4輪のF1や2輪のMotoGPとは異なり、市販されていてお金さえ出せば誰もが購入できるのが特徴です。

2000年以降は、競技に出場しないサイクリストのために、長距離での快適性や走行安定性を重視したモデルや、未舗装路の走破性を視野に入れたモデルなどが登場し、ジャンルの細分化がさらに進みました。とはいえ、湾曲したドロップハンドルに幅の細いタイヤを組み合わせるという大まかなスタイルは、1900年代から基本的に変わらないのです。

これに対してクロスバイクは、1980年代にその原型が誕生したと言われています。未舗装路を走るために作られたマウンテンバイクをベースに、ロードバイクのような細めのタイヤを履かせたモデルや、ロードバイクをベースにハンドルを一文字のフラットバーに変更したモデルなど、当初はさまざまなアプローチが模索されていました。

その後、クロスバイク専用に設計されたモデルが続々と登場し、2000年代には完全に人気ジャンルとして日本に定着。当初はクロスオーバーモデルとも呼ばれており、アスファルトと未舗装路の両方を走れることを特徴としていました。近年は舗装路での快走を重視したモデルが主流になっています。その一方、太めのタイヤを履き、オフロード走行も可能なモデルも登場するなど、ロードバイクと同様に細分化が進んでいます。

クロスバイクの相場は5万~10万円、ロードバイクは10万円以上

原材料の高騰や輸送コストの上昇、そして円安などにより、2022年に自転車は大きく値上がりしました。かつてクロスバイクのボリュームゾーンは5万円台でしたが、2023年は3割程度アップの7万円台へ。

ロードバイクも同様で、競技に耐えうるエントリーグレードのボリュームゾーンは20万~30万円台でしたが、2023年モデルは軒並み40万円をオーバーしています。ちなみにハイエンドモデルは、ついに200万円を超えてきました。一方で、レクリエーション向けのロードバイクは10万円前半から残っていますが、これはエントリーユーザーを絶やさないように、各社が徹底したコストダウンで価格を維持しているというのが現状です。

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