値上げラッシュのご時世にもかかわらず、なぜか1円という超破格値で売りに出されているものがある。超高額なものから、食品、生活雑貨まで……「1円」の値づけの秘密と買う方法に迫った! 今回は日本中の山林を1円で買い漁る「山王」に話を聞いてきた。その驚きのワケとは?

⇒【写真】購入した山にあれば、電力会社からお金をもらえる
日本中に山林を持っている「山王」

家や別荘どころか、山だって1円で買える。昨今では団塊の世代が所有する山林が相続税対策として大量に売りに出されており、相続発生リミットを間近に控えた弱みを突けば値切るのが容易だからだ。日本中に山林を持ち、「山王」の異名をとる不動産投資家・永野彰一氏に聞いた。

「田舎の山林は、時価(実際に取引される価格)より、固定資産税評価額のほうが高い。おおむね固定資産税評価額と同等の金額が相続税評価額になるので、田舎の高齢の親と離れて都会に住んでいる世代は、親の山林を売りたいんです」
山は都会で買える

彼らが親に代わって都市部の不動産業者に相談するので、意外にも山の売買情報が「アットホーム」のような一般的な不動産情報掲載サイトでも見つけられるのだとか。

「最初はまとまった額を提示してきますが、山林が売れなくて相続税を払うより、早く処分したほうが得。そこを踏まえて交渉すれば、1円で山を買い取ることが可能です」
ランニングコスト0円で土地を所有する方法

ただ、不動産には維持費がかかる。固定資産税評価額に1.4%を掛けた額が毎年の固定資産税負担になるのだ。

「重要なのは、固定資産税には非課税ラインがあること。同一市町村内に所有する土地の固定資産税評価額の合計が30万円未満だと、非課税です」

山林の固定資産税評価額は低く、1㎡あたり10円程度の場合もある。そのため3万㎡の山林でも、ランニングコストなしで持てる計算だ。
山王が資産価値の無い山を買い漁るワケ

だが、1円で買って維持費がゼロであっても、なぜ資産価値のない田舎の山を永野氏は買い漁っているのか。

「購入した山に電柱や送電塔があれば、電力会社からお金をもらえます。電柱敷地料は1本につき年間200~300円。送電塔を設置した場所については、借地料が発生。とある山では、1㎡あたり35円で3000㎡を貸しており、年間10万円ほどの収入です」

こうした不労所得を維持費ゼロで得ながら、時折現れる山林購入希望者を待ち、強気の価格で売ることで大きな転売益を見込む。1円で買った資産が数万倍の価値になるのだ。

【不動産投資家・永野彰一氏】
’90年、東京都生まれ。日本全国に数百の山を持つ不動産投資家で、山投資の若き第一人者。著書に『一生お金に困らない山投資の始め方』などがある

https://news.yahoo.co.jp/articles/4bfde355238a7c148123802bc09fd6c7bd94b5ec