宇宙は有限であり、巨大なドーナツ型であるとするシミュレーション結果

の研究グループが注目したのは、「宇宙マイクロ波背景放射(CMB)」だ。これは宇宙の誕生からわずか38万年後に放たれたとされる光で、ビッグバン直後の宇宙を知る手がかりと考えられている。

 その当時、宇宙は今よりも100万分の1ほど小さかった。もしも宇宙が本当に連結しているのならば、そうしたまだ小さな宇宙では観測可能な範囲内(宇宙の膨張は遠く離れるほど速くなる。光速より速く膨張するところからは地球まで光が届かないので、観測できない)でくるりとループしていた可能性が高い。

 一方、現在では、膨張のせいでループのスケールが観測可能な範囲を超えている可能性が大だ。だとすれば、現実にそれを直接目にすることは難しい。

 しかし初期宇宙の様子を伝えるCMBには、宇宙の形を示すヒントが隠されているようだ。それはCMBの温度の乱れ(専門的には「摂動」という)だ。もしも私たちの宇宙の1次元以上が端と端で連結しているのなら、温度の乱れが小さかった頃の宇宙のループ以上に大きくなることはない。

 つまり、もし乱れに大きさの限度があるのならば、ここから宇宙の位相幾何学的な構造を知ることができるかもしれないということだ。


宇宙の大きさには限りがあり、それはドーナツ型をしている

 そこで研究グループは、いくつかの宇宙の形を想定し、そこではCMBの乱れがどのようになると考えられるのかシミュレーションで予測。それを実際のCMB観測データと比較してみることにした。

 その結果、一般に想定されている無限の宇宙よりも、ドーナツ型の有限宇宙の方が観測データによく当てはまることがわかったという。

 中でも特によく当てはまったのは、実際のサイズが観測可能な宇宙の3、4倍ほど大きな宇宙であったそうだ。


ドーナツ型の宇宙では、一周して戻ってこられる

 宇宙がドーナツ型ということはループしているということで、同じ方向へずっと移動し続ければ、ぐるっと周ってまた同じ場所に戻ってくるということだ。

 ただし、これはあくまで理論上の話だ。観測可能な宇宙の外側では、空間が光よりも速く膨張している。そうした領域では膨張速度よりも速く移動することができないので、現実にはいつまでたっても1周することはできない。

 ちなみに別の研究グループによる宇宙マイクロ波背景放射の分析でも、宇宙は風船のようにループしているという結果が得られている。

References:Our universe might be a giant three-dimensional donut, really. | Live Science / written by hiroching / edited by parumo
https://karapaia.com/archives/52304262.html