反戦の絵を描いた少女の父親に禁錮刑、前夜に逃走 ロシア
ロシアの裁判所は28日、SNSでロシア軍を繰り返し批判しておとしめた罪で、男性に禁錮2年の刑を言い渡した。この男性の娘(13)は昨年、学校で反戦の絵を描いたとして警察に通報されていた。
被告のアレクセイ・モスカレフ氏(53)はこの日、判決公判に出廷しなかった。イエフモレフの裁判所の報道官によると、モスカレフ氏は自宅軟禁状態だったが逃げ出したという。
モスカレフ氏の弁護士ウラジーミル・ビリエンコ氏はBBCに対し、同氏の所在は知らないと述べた。
モスクワから南に320キロほど離れたイエフモレフに住むモスカレフ氏は、ロシア軍を批判して禁錮刑を受けた一人に過ぎない。しかし、今月初めに当局がモスカレフ氏から娘のマーシャさんを引き離す決定を下したことで、国際的な注目を集めていた。マーシャさんの母親は近隣に住んでおらず、父子とは別居している。
マーシャさんは、裁判が始まった段階で児童施設に預けられている。
イエフレモフのオルガ・ポドルスカヤ町議によると、モスカレフ一家の災難は昨年4月、マーシャさんの通っている学校が、マーシャさんの描いた絵について警察に通報したことから始まった。マーシャさんはこの時、「ウクライナに栄光を」と描かれたウクライナの国旗と、ロシアから飛んでくるロケット弾、そして「戦争反対」と描かれたロシア国旗を描いた。
モスカレフ氏は昨年のうちにポドルスカヤ氏に連絡を取り、自分と娘が受けている圧力について相談したという。
モスカレフ氏は当初、戦争をめぐってSNSに昨年投稿したコメントについて罰金を支払った。しかし昨年12月に自宅の家宅捜索が行われ起訴された。
ポドルスカヤ氏は、「ショックだ。自分の意見を言って禁錮刑になるなんてひどい。2年の禁錮刑は悪夢だ」と語った。
「モスカレフ氏が逃亡したと聞いて、さらにショックだった。彼が無事で、何も起きていないことを祈っている」
https://www.bbc.com/japanese/65108235