中村うさぎ、ラノベ黎明期から様変わり「異世界転生」氾濫に喝
「テンプレ小説ばかり、書いてて恥ずかしくないのかな」

――『ゴクドーくん』が売れていると実感したきっかけは何ですか。

中村:最初の巻が出たとき、編集部が売上の順位表を見せてくれたんですよ。
6人くらい新刊を出した中で私はベスト3に入っていて、関西、特に大阪で売れていたようです。
「ゴクドーくん」は大阪っぽいノリなのかなと思いましたね。
本当に売れていると実感したのはサイン会です。
夏休みの時期に、編集部は子どもを誘きよせるために作家のサイン会を企画し、各地を転々とさせていました。
デビューしたての時はそんなに並んでいなかったので、本屋さんに申し訳ないと思ったけれど、
1993年ぐらいかな、東京でサイン会をしたときにすっごい並んでいるのを見たんです。

異世界転生もののラノベが多すぎる!?

――異世界転生もののほか、悪役令嬢ものも無数にありますね。

中村:でも、いきなりすごい能力を授けられて、女の子にモテモテでハーレム状態……
という物語ばかりが量産されているのを見ると、オリジナリティってなんだろう、
同じような小説書いて恥ずかしくないのかなと思っちゃうね。

私がデビューしたときは、周りと違う、自分にしか書けないものを書こうと思っていたわけ。
それなりにプライドもあったと思うし、これは俺にしか書けねーだろ、
みたいな作品が強いと言われていましたからね。

――そんな中村先生から見ると、現在のライトノベル界は画一的なものに映ってしまうのでしょうか。

中村:これは相当前の話だけど、男性向けのエロ小説の審査員に抜擢されたことがあって、
候補作を読んだら、全部同じ人が書いたんじゃないかと思うくらい似通っていたんです。
同じことがラノベにも起きていると思います。
異世界転生系は、ぜんぶ作者が同じじゃないかと思うくらい、
さらに言えばラノベ脳を失った私ですら書けると思うくらいテンプレなんですよ。

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