刑務所や拘置所で、女性収容者しか化粧水を使えないのは人権侵害だ――。

大阪弁護士会は31日、刑事施設内で使える日用品のルールが不適切だとして、法務大臣に改善を勧告したと発表した。勧告は29日付で、同会は「時代の変化に伴い、化粧水を使う男性は相当数に上る」と指摘した。

法務省は2007年の訓令で、刑事施設で使える日用品の種類について、性別ごとの制限を設けた。

化粧水とヘアピンは「女子に限る」と明記。髪留めゴムやリンス、バスタオルなどについては、判決が確定していない未決勾留者は男女とも使えるが、受刑者は女性に限定している。一方、ランニングシャツは男性しか使えない。シャンプーやせっけん、タオルなどは性別による区別がない。

同会は、このうち化粧水の制限について、大阪拘置所の収容者2人から人権救済の申し立てを受け、調査をしてきた。うち1人は自認する性別が女性といい、同会は法相に「性別による区別は法の下の平等を定めた憲法に違反する。(訓令の)合理性を全般的に再検討されたい」と求めた。

日用品のルールについて法務省矯正局は取材に対し「施設内の秩序を管理する上で一定の制限は必要だ」と説明し、性別による区別を設けた理由は「当時の経緯が分からず不明だ」とした。刑事施設内で使える日用品は施設から支給・貸与されるほか、収容者が自ら買うこともできる。(森下裕介)

https://news.livedoor.com/lite/article_detail/23970380/