「子供は“嗜好品”“贅沢品”だと」“異次元”の少子化対策の陰で・・・結婚・子供を諦め始めた若者たち【報道特集】

深刻な少子化社会の日本。結婚したくてもできない…。子供は作れない…。フリーランス、非正規のカップルからは「もう手遅れだ」と諦めの声すら出ています。
政府が“異次元”だとした少子化対策のたたき台で、食い止めることはできるのでしょうか。

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■AI婚活が人気 少子化対策につながる“結婚支援”

30代女性「ようやくこの人!という人に出会えました」
昨年入籍した30代夫婦「明るい未来を与えてくれる素晴らしいお相手をパートナーにすることができました」

“婚活”支援サービス「恋たま」に寄せられた喜びの声。実は、埼玉県が運営に関わっている。最大の特徴は・・・

「恋たま」スタッフ
「AIがご相性のいい方がいた時に、月上限6名様を紹介します」

人工知能=AIを使った“相手選び”。利用者は自らの“価値観”に関する112の質問に答えると、AIが膨大なデータをもとに、“相性がいい相手”を提案する。

この日、IT企業に勤める29歳の男性が相談に訪れた。

「やっぱり30歳近いなっていうところでいろいろ考えるところがあって、思い立ったが吉日と」
「(AI婚活支援は)出会いの機会を増やすという意味では有効な手段だと思います」

AIを使った結婚支援は、国の後押しもあり、内閣府によると全国22の県が導入している。2018年に取り入れた埼玉県では、これまで300組以上が婚約・結婚に至ったという。

相談に訪れた30代女性
「本人確認・独身証明とかもしっかりしていたので、安心してできるかなって。公的機関がやっているのが一番大きいかもしれない」

県の担当者は、少子化を防ぐには子育て支援だけではなく、“結婚支援”をすることが重要だ、と強調する。

埼玉県少子政策課 島﨑高志 主査
「統計を分析すると、結婚することで子供が生まれてくる状況がある」
「結婚をご希望しているけれども、相手に巡り合わないという状況を解消するのが大事なのかなと思っている」

■「子供は“嗜好品”」「幸せに出来るか不安」若者たちの本音

しかし今、経済的理由で、多くの若者たちが結婚や出産を諦め始めている。

神奈川県で配送ドライバーとして働く池畑裕一さん、35歳。1セット24キロほどの飲料水を、多い日は1日80軒に届ける。

池畑裕一さん
「フリーランスは何も保証してもらえない。その会社は何も守ってくれないし。『池畑さん来週で終わりです』と言われたらもう、その時点で仕事がなくなっちゃうので」

1セットで得られる額は、400円。月の売り上げは40万円ほどだが、高騰するガソリン代など様々な経費も負担するため、手元に残るのは月に30万円ほどだ。

フリーランスは労働基準法で保護されず、雇用保険も適用されない。

池畑さん
「自分1人で生きてくのですら不安なこの世の中なのに、結婚して奥さんも子供も養ってくっていうのは男からすると想像できないというか。足踏みしちゃってる人はかなり大勢いるんじゃないかなと。僕もその1人」

日本の2021年の合計特殊出生率=1人の女性(15~49歳)が生涯に生む子供の数は1.30。去年の出生数は過去最少の79万9728人で、初めて80万人を割り込んだ。

政府は3月31日、児童手当の所得制限の撤廃などを盛り込んだ、“異次元”の少子化対策のたたき台を公表した。しかし、財源には触れておらず、今年6月の「骨太の方針」までに、結論を出すという。

https://news.yahoo.co.jp/articles/8323fde3aabd122ae3e527e91deec56a40a38bdb?page=2