【舛添直言】日本をダメにする薄っぺらな「知識人」と彼らを重宝がるマスコミ

■ 劣化する知性の代表、三浦瑠麗

 日本の活力低下は、企業の生産性が伸びないことのみによるのではない。あまり指摘されていないが、大衆を指導すべき知識人のレベルの低さも一つの要因になっている。

 テレビ番組も、かつて大宅壮一が喝破したような「一億総白痴化」現象が拡大している。知の退化、つまり、知を担う知識人の劣化が甚だしいのだ。

 その象徴が、今話題になっている三浦瑠麗である。この人のテレビ番組での発言を聞いても、「国際政治学者」という売り込みなのに、国際政治に関わるテーマについて彼女が的確な解説をしているところを見たことがない。たとえば、習近平政権3期目の発足についての発言など、習近平賛歌ともとれる内容で、まともな中国専門家から顰蹙を買っている。

 私は、1989年に東大を辞してから、『朝まで生テレビ!』、『TVタックル』など多数のテレビ番組に出演したが、それ以来、肩書きに「国際政治学者」を使ってきた。学者、研究者としての矜持があったので、「評論家」という肩書きが嫌だったからである。

 しかし、三浦がこの肩書きを使うようになって、まるで自分まで彼女と同類項であるかのように見なされるのには閉口している。実は、この肩書きを広めたのは私である。

 松尾貴史は、先日、毎日新聞の日曜連載コラム(1月29日)に三浦批判を寄せているが、そこに「『国際政治学者』という肩書を知ったのは、いつごろのことだろうか。時期は判然としないけれども、人物と肩書がリンクしたのは舛添要一氏だったような気がする。大学の助教授だった頃から討論番組の『朝まで生テレビ!』などに出演し論客として頭角を現したのか、とにかく売り出して参院議員になったり、厚生労働相になったりした。その後は東京都知事まで務めたが、彼の職業は、といえば国際政治学者だと迷うことなく思う」と記している。私が、元祖「国際政治学者」であることは間違いない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/633c613ac55b9dc84375bd515814c772db95072b