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発達障害の受験とは…ADHDの息子、駒場東邦合格の中学受験までの親の伴走
中学受験のシーズンが終わり、受験塾の新年度がスタート。宿題の量や模試のハードスケジュールに驚く家庭も多いのではないだろうか。ジャーナリストのなかのかおりさんは高瀬志帆さんの大ヒット漫画『二月の勝者』がテレビドラマ化された際、主演の柳楽優弥さんにインタビューしたのをきっかけに、FRaU webにて様々な受験体験を紹介した。現在はSNSで広がっている「＃中学受験のバトン」活動に賛同し、情報を発信している方たちのインタビューでバトンをつなぐ。今回は、ADHDの特性がある長男の中学受験に伴走し、最難関の私立中高一貫校合格に導いた父親のHさんに、体験を伺った。
支援学級で能力を認められ
Hさんは40代の会社員。長男は、首都圏で最難関の私立中高一貫男子校に通う。東京の私立御三家を追い越す大学合格実績で、人気の学校だ。Hさん親子が面倒見のよい校風に惹かれてチャレンジした学校で、実際に通ってみて満足しているという。順調な受験だったように見えるが、Hさんが学校選びにこだわったのには、事情がある。長男は、ADHDの特性があり、 Hさんが様々な配慮をして手探りしながらの挑戦だった。
保育園の年長の時は、転んだ時に大泣きしたり、聴覚過敏で大きい声にびっくりしたりすることがあった。小学校に入ると、忘れ物が多く、親が念押ししても置いていってしまい、学校のプリントを出してと言っても出せなかった。
「妻が行政の窓口で相談し、医療機関を探して得意・不得意の発達のバランスを知るためにWISC-IV知能検査を受けました。そして小3の初め頃、ADHDとの診断を受けました。注意欠陥優位で、多動はあまりありません。忘れ物やケアレスミスが多く、整理整頓やスケジュール管理が苦手です。主治医は、できないことの緩和とストレス軽減ために、投薬に積極的なタイプでした。一通りの薬を試し現在は2種類に落ち着きましたが、劇的に症状が改善しているわけでありません。
学校内に支援教室があって、小3の時は週に何回か通いました。コミュニケーションを学んだり、ゲームみたいなことをしていたら、そこの若い先生が褒めてくれた。『何をやらせてもすごい集中力で、ゲームのスコアも半端ない。この能力を生かしたほうがいい』と。これが、中学受験を志すきっかけです。凸凹はありますがIQは高い方であったため、それを生かしたいと思いました。また、内申書が重視される高校受験は、ADHDの長男には不利と判断しました」
大手塾より、親切な小規模塾へ
中学受験を考え、Hさんの妻が塾探しをした。検討の結果、テキストに「予習シリーズ」を使う近くの四谷大塚準拠の小規模塾に、小3の2月から通い始めた。
「私自身は地方出身で中学受験の経験が全くなかったため、塾の入塾説明会で名前を聞くまで駒場東邦すら知らなかったんです。調べてみたら、東大合格者も多い人気の名門男子校だった。さらにその塾は駒場東邦以外の人気男子校にも多数の合格者を出していて、男子の教育が得意な塾でした。たくさんの学校を自分なりに調べ、中学受験に関する書籍もたくさん読みました。私自身が中学受験の面白さにのめり込んでいきました」(Hさん)
長男は、水泳や太鼓の習い事は経験していたが、公文など学習系の教室には通ったことがない。小3の1月に急遽、受けたその塾の入塾テストで、「合格点には至っていないけれども、答案を見るとよく書けている」と言われ、上のクラスからスタートした。
「厚いテキストを見て、この量が終わるの？ と思っていました。4年生のうちは週2日は塾通いで、後は自宅で学習。当時は、私の会社は在宅ワークがなかったので、パソコンで学習の計画表を作って、長男にその通りに進めておくように指示していました。お父さんが帰ったら丸付けと直しをするよと。でも、帰ってきてもやっていない……。ADHDの特性による勘違いが多く、指示通りにできないことも多かったです。少しでも寄り添う時間を増やすために、出勤時間を早めて、早く帰るようにしました。
長男はとにかくミスが多かった。集中した後にぐったりしてしまう特性もありました。そのため、日々の勉強で苦労は絶えませんでした。しばらくして特性について塾にも話したところ、塾の先生には『気にしなくていい、受験は大丈夫、ミスをカバーする学力がある』と言ってもらえました。くじけそうになった際にはその言葉を思い出して頑張りました」
父が伴走、具体的な指示を
