ハヤシヒロユキ(POLYSICS)インタビュー

ライヴの動員は落ちている。CDの売り上げも下がってる。何かを変えなきゃいけないと思った

ーーハヤシ君にインタビューするのは20周年の『That's Fantastic!』の時以来です。

ハヤシ:え、もうそんなに経ちますっけ。

ーーちょうどナカムラリョウさんが加入して最初のアルバムでした。

ハヤシ:あぁ、そうかー。そんな、5年も。

ーーハヤシ君には『1st P』(1999年)の時からずっとインタビューさせてもらって。10周年とか15周年とか20周年とか、節目にはだいたいインタビューしている。だから25周年もやらなきゃダメだろうということで(笑)、無理を言ってこういう機会を貰いました。

ハヤシ:ありがとうございます。

ーーどうですか、25周年を終えて26年目に突入した今の気持ちというのは。

ハヤシ:まずは25周年ツアーを無事終えられて良かったなと。25本を1年かけて周る。しかも毎回必ず新曲を演奏する、というテーマで。ゆっくりペースではあるけど、このご時世なんでいつ中止になるか、自分もコロナになっちゃうかもしれないし、そういうところですごい気を張っていたから。たぶんメンバーもみんなそうだと思うし。どこも中止にならずにできたのはやっぱり嬉しかった。

ーーそうですね。

ハヤシ:で、3月3日と4日に25周年のファイナルと26周年最初のライヴを続けてやってーーまぁ、実質クアトロ2DAYSなんだけど、ただの2デイズじゃなく違うものにしたかったし、それはできたなと思っていて。そういう意味ではホッとしました。ただ26周年ライヴでは、正直もうちょっとできたんじゃないか、自分の中ではまだまだだなぁと思う部分もあって。“おめでとう、ワー!”みたいな感じにはなれず、もやもやした気持ちで数日間過ごしていたかな。

ーーそれはなぜですか?

ハヤシ:26周年ライブに向けてメンバーともスタッフとも話して、イメージしてきたものがあったんだけど。イメージしてきたもの、やろうと思ったことを遂行しようとすると、何かこう、殻にとどまっちゃうというか。ちょっと面白みに欠けるというか。ただ決まったことをやっていく、みたいになっちゃうとつまんないんだよなぁ俺、っていうのは自分でもわかっているんだけど。若干そういう風になっちゃったかなぁ。

ーー決まったことをやっちゃうっていうのは、自分なりのPOLYSICSの型みたいなのがある程度決まっていて、そこから抜け出せないみたいな……

ハヤシ:いや、それは音楽のスタイルとか、演奏の話とかじゃなくて、ライヴの形式の話です。小野島さんが観てくれた日(3/4)は曲ごとのブロック分けをこまめにして、MCも多めで。いつもは5曲くらいドドドってやって休んで、また5曲くらいドドドってやって休んで、最後、大爆発!みたいなライヴですけど、そういうのを変えたかったんですよ。

ーーふむ。それはなぜ?

ハヤシ:同じことをずっと…POLYSICSのライヴのフォーマットみたいなものをずっと変えずに25年間やってきたわけで。でも実際のところ、ここ10年くらい、お客さんの動員が落ちてきている。CDの売れ方…なんて、今はもう全然参考にならないけど、それも全体的に下がって、落ちているのは目に見えてわかっているから。ここで何かを変えようっていうところで、みんなとも話していたし。変えたいっていう自分もいたし。

ーーショウのやり方みたいなものが決まりきっていて、それがちょっと飽きられているみたいな状況を感じていた。

ハヤシ:まさにそうです。例えばMCの煽りとかですよね。良かった時のライヴの煽りみたいなものを自分は引きずっていたという感じで。

ーーいいイメージでずっと来ていたものをあえて変える必要はないと思っていた。

ハヤシ:うん。でもやっぱり現実を見ると、そういうところから変えていかないとなぁ、と。

ーーあの時のMCで、「そろそろちょっとイメージを変えなきゃいけないと思っている、落ち着きたい」みたいなことを言っていたけど。

ハヤシ:言いましたね。

https://note.com/onojima/n/n47ca5ec1beb7