日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁(78)は7日、任期満了を8日に迎えるのを前に、日銀本店で退任の記者会見を行った。10年続けた大規模な金融緩和によって「物価が持続的に下落するデフレではなくなった」と振り返り、「物価目標を安定的に達成できる時期が近づいている」と語った。

【表】新日本銀行法以降の総裁、副総裁の変遷

 黒田氏は就任直後の2013年4月の金融政策決定会合で、異例の規模で国債や上場投資信託(ETF)を買い入れる金融緩和策の導入を主導した。その後も、マイナス金利など異例の策を採用した。黒田氏は「政府の政策と相まって経済・物価の押し上げ効果をしっかりと発揮した。政策運営は適切だった」と総括した。

 ただ、黒田氏が就任時に「2年程度」での実現を掲げた「持続的安定的な物価上昇率2%」は達成できなかった。黒田氏は「実現に至らず残念」と語った。

 足元では輸入物価の上昇を主因とする物価高の下、賃上げの動きが広がる。黒田氏は、後任の植田氏に「目標の実現を期待する」と託した。退任後は「大学で教えたい」と語った。黒田氏の在任期間は3600日を超え、歴代最長となる。
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