JR西日本の赤字ローカル線の利用促進策などを検討する兵庫県の協議会の第3回会合が1日、県庁であり、県や沿線市町が、誘客イベントの充実などの対策を取りまとめた。
しかし路線の維持・活性化にとどまらず、別の交通機関への転換など、地域交通の幅広い議論を求めてきたJR西の国弘正治兵庫支社長は「維持することだけが目的の議論に違和感と既視感を覚える」などと発言。
温度差や溝が浮き彫りになった。

 JR西は昨年4月、利用者が少ない赤字路線の収支を初めて公表。兵庫県関連は山陰線、播但線、姫新線、加古川線の4路線6区間が対象となった。

協議会では同6月以降、路線ごとの利用促進策を検討。この日の会合で2023年度以降に取り組む施策をまとめ、演劇列車など特別列車の運行(山陰線)▽通学自転車を載せるサイクルトレインの運行(加古川線)
▽住民のローカル線への愛着など「マイレール意識」を醸成する「ありがとう運動」の展開(全県)−などを挙げた。県は23年度当初予算案に関連経費約3千万円を盛り込む方針。

 一方、国弘兵庫支社長は「ありがとう運動などはこれまでも繰り返してきたが、利用が激減している現実がある」「ノスタルジーではなく現実直視で、現状維持ではなく未来志向で議論してほしい」と指摘した。
 斎藤元彦県知事は会合後、「協議会を通して厳しい状況を認識し、利用促進のための枠組みができたことに大きな意味がある」と述べた。協議会は23年度も継続する予定。

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202302/0016013985.shtml