筋肉量に関わらず基礎代謝は低下していた
この仮説を検証するために、ホール博士と彼の仲間はふたつのグループを比較した。
ひとつは、胃バイパス手術を受けて摂取カロリーを減らすことによって体重を大幅に落とした男女16人。
もうひとつは、激しい運動と厳格なカロリー制限をすることで体重を大幅に落とした「The Biggest Loser」の競技者16人。
結果はこうなった。胃バイパス手術のグループは、脂肪だけでなく筋肉量も低下していたが、
「The Biggest Loser」の競技者グループは主に脂肪量だけが落ち、筋肉量は維持されていた。
ここまでは予測通りである。
しかし意外な発見があった。それは、基礎代謝は筋肉量の多少にかかわらず、
全員がほぼ同じだけ低下していたことである。
驚くべき結果である。筋肉量が維持される、維持されないに関係なく、基礎代謝はほぼ同じだけ低下していた。
体重が低下したときに基礎代謝が低下することを「代謝適応」と呼んでいる。
代謝適応は生物が生き残るためのしくみであるため、必ず起こる。
しかも、代謝適応は体重が低下してから数年も続くと考えられている。
それなら、「The Biggest Loser」の競技者は、数年後も、基礎代謝が低下した状態のままなのか?
そこで番組の収録が終わって6年後に、競技者の低下した基礎代謝が回復していることを期待して、
同じ人たち14人を再調査した。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/lifestyle/2023/04/post-101456.php