iOS 16以前の端末では、Apple公式のアプリストア以外からアプリをインストールすること(サイドローディング)は許可されていません。アプリの選択肢が狭まるという観点からは不便であるといえるものの、セキュリティの観点からはユーザーに余計な心配を抱かせずに済んでいるといえるこのシステムが、iOS 17で変わる可能性があると報じられました。

iOS 17 app sideloading might only be available in Europe | TechRadar
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これまでにもApple関連の未公開情報を多数報じてきたジャーナリストのマーク・ガーマン氏によると、iOS 17でサイドローディングが「ひっそりと」許可されるとのこと。ただし、サイドローディングは全世界的に導入されるわけではなく、独占禁止法の下で企業が厳しく規制されるEU圏でのみ利用可能になるそうです。サイドローディングはAndroid端末では簡単に利用できますが、Appleはセキュリティと信頼性の問題を理由に、これまでiPhoneやiPadでサイドローディングを許可していませんでした。

Appleは2021年に「App Store以外からアプリをインストールするのはユーザーにとって危険である」とのレポートを公開し、ユーザーがApp Store以外からアプリを入手するサイドローディングのリスクについて詳しく解説しました。しかし、こうしたレポートをわざわざ公開したのは、代替となるアプリストアや自由なアプリのインストールに向けて門戸を開くよう要求されているAppleによる、サイドローディングを拒否する理由を明確にするためのロビー活動の一種だと報じられていました。

Appleはこれまでにも独占禁止法を根拠に規制当局から圧力をかけられており、「アプリ内決済の手数料が高い上に、Apple公式以外の決済方法を認めないことは独占的である」などの理由で、「フォートナイト」のEpic Gamesと長い法廷闘争を繰り広げていたことでも知られています。

「囲い込み」とも言えるAppleの戦略はこうした法的規制で崩れ始めており、2022年12月には、AppleがEUのデジタル市場法に準拠するべくサイドローディングを許可する準備を進めていると報じられました。

ガーマン氏によると、たとえサイドローディングが許可されたとしても、サイドローディングを行わせたいアプリ開発者は追加で「手数料」を支払わなければならなくなる可能性があるとのこと。

Appleは2023年6月6日に開発者向けカンファレンス「WWDC23」を控えており、iOSやmacOSの最新バージョンを発表することが期待されていますが、ガーマン氏は「サイドローディングの導入はこうした大々的な場所で発表されるとは限らず、小さなプレスリリースの末尾で言及されるだけの可能性もあります」と述べています。

WWDCでは、iOS 17を始め、LightingからUSB-Cへと切り替わることのではないかと推測されているiPhone 15シリーズや、複合現実(MR)ヘッドセットの登場も期待されています。