「フホーを粗末に扱ったら、逃げられて通報されます」全国3位の農業県・茨城で起きている不法就労の実態

茨城県内でもとりわけ農業がさかんな鉾田ほこたなどの地域では、逃亡実習生でもオーバーステイでも働き口がある。収穫や梱包こんぽう、荷運びなどなど、農家の下支え的な仕事だ。技能実習生となんら変わらない作業なのだ。

実習先の農家から逃げてきたベトナム人男性・フックさん(仮名)が笑う。

「私が働いてる農家、実習生もいる。私みたいなフホー(不法就労者)もいる」

ベトナム人というのは同じだが、かたや合法、かたやフホーの労働力が同居しちゃってるのである。

彼らフホーは、農家にとっては実はありがたい存在なのである。繁忙期だけ働かせることができるからだ。技能実習生の場合、基本的には3年間の契約で、当たり前だが雇用し続ける必要がある。その間コストがかかる。

しかしフホーは、この作物の収穫期だけとか、夏の間だけとか、そういう使い方ができる。法律なんか関係ないので時間も無視してガンガン働かせても、そのぶんキッチリ給料を払えばいい。もちろんアシのつかないニコニコ現金払いだ。

フホーのほうも「いつ捕まって国に返されるかわからない」ので、いまのうちに稼ごうと、危機感を持ってマジメに働くのである。だから農家のほうは、実習生よりもむしろフホーを大事にすることがある。
https://president.jp/articles/-/67218