eスポーツのスポンサーシップ事業が苦境に立たされている。2017年から2020年にかけてのゴールドラッシュ時代、eスポーツチームはほとんど自己陶酔的な強気の売り込みを展開し、ブランドもその売り込みに飛びついた。今は昔の話である。

いまやこうした過剰な売り込みは鳴りを潜め、スポンサーたちもeスポーツ向けの予算支出を相応に減らすべきかと考えはじめている。

多くのマーケターにとって、それは特に難しい決断ではない。期待した投資利益が得られていないのだから当然だ。とはいえ、こうした決断は常に厄介を伴う。そもそもスポンサーシップは売上増に直接貢献する施策ではない。一方、eスポーツ団体の幹部たちも、eスポーツチームとの提携が効果的なブランド露出につながる最短路のひとつであると説明すべきところ、うまくできていないのが現状だ。

ブランド露出以上の投資効果はなし

匿名で取材に応じたある大手PCメーカーのマーケターはこう話す。「ビッグチームと結ぶ通常のスポンサーシップ契約の99%は、投資効果がまったくないといっていい。メリットは純粋に露出効果だ」。

多くのマーケターがスポンサーシップの弱点に気づくのは時間の問題だった。マーケティングエージェンシーのストライブスポンサーシップ(Strive Sponsorship)でマネジングディレクターを務めるマルフ・ミンズ氏は、eスポーツのスポンサーシップに対するブランドの意欲が「数年前と比べて増進したか、あるいは減退したか」という問いに対して、「明らかに減退した。eスポーツチームに限らず、eスポーツ全般についていえることだ」と答えている。

おそらく、業界の自信過剰とは裏腹に、eスポーツが競技ゲームでスポンサーシップ収入を本格的に拡大するのは土台無理な話だった。実際、ブランド露出以上の投資効果を狙ったパートナーシップは、ほとんど成功した例しがない。

https://digiday.jp/brands/sponsors-are-wising-up-to-deals-with-esports-teams-and-adjusting-spending-accordingly/