“日本最速記録”フランチャイズ「とろり天使のわらびもち」が店舗数激減 店舗オーナーが悲惨な現状を告白「ほとんど利益が残らない」

5/21(日) 11:12配信

 全国にチェーン展開する和風スイーツの専門店「とろり天使のわらびもち」の店舗が立て続けに閉店していることが「 週刊文春 」の取材で分かった。FC(フランチャイズチェーン)店舗のオーナーらが窮状を明かした。

「高級『生』食パン」の乃が美や、フルーツ大福の弁才天など、「週刊文春」はこれまで全国に多くの店舗を抱える食品チェーンで、FC店舗が次々と閉店に追い込まれている実態を報じてきた。今回、新たな食品チェーンの複数のFCオーナーが小誌に現状を訴えた。それが、とろり天使のわらびもちだ。

 とろり天使のわらびもちは2020年8月に大阪市北区に1号店を出店。

「目玉商品はトロトロとした食感が特徴の『生わらびもち』。大阪の店舗でアルバイトをしていた女子高生がわらびもちの柔らかさに着目して考案した『飲むわらびもち』も人気があります」(Webメディア記者)

 その後、全国に急拡大。わずか1年10カ月で100店舗を達成し、プレスリリースで〈日本の外食チェーン(実店舗)の最速記録を更新しました〉と謳っている。現在は全国144店舗を構え、直営店が27店舗に対し、FC店舗が117店舗だ。

 だが、“日本最速出店”の裏で異変が起きていた。

 5月10日に公開されたばかりのWebメディア「IRAW by RCC」の記事では〈全国に200店舗〉と紹介されているとろり天使のわらびもち。ところが、小誌が取材を開始した5月上旬の時点で公式HPに記載された店舗数は152。さらに5月15日に確認すると146。そして、5月18日現在は144。日を追うごとに全国の店舗が閉店しているのだ。

 とろり天使のわらびもちの現役FCオーナーが明かす。

「今年に入って少なくとも20店舗以上が潰れました。オーナーたちの間で不安が募っています」

 複数のFCオーナーによると、閉店の背景にはフランチャイズ経営ならではの問題があるという。その一つが、「初期費用が回収できない」ことだ。とろり天使のわらびもちのFC店舗出店にかかる費用は、加盟金の330万円や工事費用などを含めて約1000万~1500万円。しかし、

「FCに加盟する際、本部からは『初期費用は安く抑えることができるし、早くて半年から1年程度で回収できる。利益率は30%ほど』と説明されました。ところが、実際に始めてみると実態は全く異なります。1年前後での初期費用回収など、絶対にできません」(別のFCオーナー)

 回収を困難にさせている原因が「本部への支払いの多さ」だという。

「本部への支払いの割合を計算すると、売上の7割を超えています。店舗によっては9割近いところもあるとか。ここから人件費や店舗の家賃、諸経費を支払うとほとんど利益は残らないのです」(同前)

■「とろり天使のわらびもち」本部はどう答えるか

 FCオーナーたちが訴える窮状に本部はどう答えるか。

 とろり天使のわらびもち株式会社に質問状を送ったところ、「オープン当初からうまくいっている店舗も多くあり、売上を伸ばしている店舗も沢山ございます」とした上で概ね以下のように回答した。

――閉店している店舗の多くはFCなのか。

「閉店している店舗はございます。閉店の割合は直営とFCで半々ほどです」

――本部への支払いが多く、利益が確保できないという声がある。

「売上のロイヤリティーとして5%と、システム利用料80,000円(税抜き)を説明の段階で、資料に記載してある通り、説明しています。本部への支払いに関してですが、全店舗同条件で実施しており、売上の高い店舗も低い店舗も公平性を保っています。2022年度中に支払いに対する減額の値段改定も行っています。オープニング効果を得られない店舗ももちろんあり、実際にはオープンしてみないと分からない(回収できない可能性もある)ことについても、説明しています」

 現在配信中の「 週刊文春 電子版 」では、とろり天使のわらびもちのFCオーナーたちが訴える閉店の裏にある“3つの問題点”、運営会社が手がける別のビジネス、そして本部との一問一答など、フランチャイズビジネスの“罠”を詳しく報じている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ad578887318109b09aa02e7de7bba080a7fd6625