四半世紀で韓国は2.7倍「日本はマイナス」の悲劇、給料で「日本一人負け」になった根本的な原因

円安、物価高、低賃金……日本で働く私たちには不安ばかりがつのる現在の経済事情。
過去20~30年で社会人の給料水準はどのように変わってきたのでしょうか。
世界と日本を比べて見てみると、衝撃の事実が見て取れます。
『アベノミクスによろしく』などの著書があり、賃金問題や労働問題、経済政策などに詳しい弁護士の明石順平氏が、
『働くときに知っておきたい「自分ごと」のお金の話 データで見る日本経済の現在地』より、
日本経済の未来について自分の頭で考えるために必要なデータを集め、解説します。
(中略)
実は、私たちが労働の対価としてもらう賃金は、その国の経済状況を如実に映しています。
つまり、賃金を見れば、その国の経済状態がよくわかるのです。
この図はOECD加盟国中34カ国の名目賃金について、1996年と比較した2021年の伸び率を示したものです。
ちなみに名目賃金とは、見た目の金額そのままの賃金を言います。
ラトビアとエストニアは、700%以上と伸び率が驚異的すぎて、もはやイメージしづらいほどです。
そこで、もう少し身近な国を見てみると、例えば韓国の伸び率は169.6%、アメリカは132.2%です。
つまり、韓国は25年のあいだに給料が約2.7倍になり、アメリカは約2.3倍になっているのです。
日本はどうでしょうか。なんと、この中で唯一、日本だけが1996年より2021年の名目賃金が下がっています。
日本の次に伸びていないスイスでさえ34.4%プラスということを考えると、
日本の-3.6%という数字の異常性がわかるでしょう。
(中略)
IMF(国際通貨基金)が「先進国」にカテゴライズしている国の名目GDPの、1996年と比較した2021年の伸び率を見てみることにしましょう。
名目賃金と同様、日本はまた断トツ最下位になってしまいました。
次に伸びていないイタリアでも69.8%の伸び率なのに、1.2%しか伸びていません。
文字通り、日本だけが桁違いに伸びていないのです。次に、実質GDPの伸び率を見てみます。
一番伸びていないのがイタリア(10.5%)、次がプエルトリコ(13.2%)、その次が日本(13.6%)なので、
名目よりはマシといえるものの、やはりかなり厳しい値なのがわかると思います。
このように、名目・実質ともに、賃金とGDPとのあいだに強い相関性があることがわかると思います。
賃金が低迷していることはつまり、日本の経済が低迷していることを表しているのです。
(中略)
バブル崩壊後から数年を経た1999年11月から、大手の金融機関が次々と破綻していきましたが、
簡単に言うと貸し過ぎたお金が返ってこないため、信用を失ったことが原因です。
そこから日本経済は長い停滞期に入っていきました。
こうして考えると、日本の経済の低迷の発端は、金利を下げ過ぎたことです。
こうやって金利を引き下げてお金の量を増やすことを金融緩和と言います。
これによって、日本はバブル期にものすごく痛い目にあいましたが、
「アベノミクス」において、異次元の金融緩和を行い、また同じことを繰り返してしまったのです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a38e8d2a7b825e508b18d43220b5bdf4e981b85a