「止まらんでいいから」死亡事故で信号無視指示したとされる上司に懲役10年求刑…金沢地裁(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース
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金沢市増泉の県道交差点で昨年6月、赤信号を無視して乗用車で自転車の男性をはねて死なせたとして、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死)に問われた被告2人の裁判員裁判が1日、金沢地裁(野村充裁判長)であった。検察側は運転者の被告に懲役8年、助手席で信号無視を指示したとされる被告に同10年を求刑、弁護側はいずれも無罪を主張して結審した。判決は21日。
起訴されたのは、乗用車を運転した同市大野町、建設会社従業員長谷川玲子被告(47)と上司で助手席に座っていた野々市市若松町、寺崎太尊(りき)被告(31)。
検察側は論告で、寺崎被告による「止まらんでいいから」などの指示は交差点が赤信号であることが前提だと指摘。長谷川被告が交差点の手前で赤信号に気づき、一度減速したことも踏まえ、2人とも赤信号を認識していたとして危険運転致死罪の成立を主張した。
「明確で執拗(しつよう)な指示がなければ事故は起こらず、寺崎被告は犯行に重要な役割を果たした」として、2人に共謀が成立すると説明。量刑については、寺崎被告がより重い責任を負うべきだと訴えた。
これに対し、長谷川被告の代理人は、上司である寺崎被告からの指示に混乱していたと説明。「不注意で事故を起こしてしまったのであり、赤信号をわざと無視したことには疑いが残る」と無罪を主張した。
寺崎被告の代理人は、指示があったとされる地点から衝突までの短時間に複数回の会話をすることは不可能で、指示自体がなかったと反論。同被告は当時、座席を大きく倒して携帯電話を操作していたとも説明し、「赤信号を見ていた根拠はなく、指示したとしても共謀にはあたらない」と無罪を主張した。
意見陳述で遺族の代理人は「身勝手な指示さえなければ事故は起きなかった」と訴え、厳罰を求めた。