エマニュエル・トッド 「反LGBT」というお話がありました。いま、西側の世界で何が起きているかというと、ひじょうにある意味、冒険的な社会的実験が行われているというような状況なんです。

 たとえば、ホモセクシュアリティー。これはもう、完全に広く認められている話なわけですが、それよりもむしろ「男女の違いを超える」といったような、そういったディスクール(言説)、考え方が出てきています。

 生物学的、遺伝学的に定められた「男女」というものは、そもそもないと考えたり、それを超えられたり、あるいは変えたりすることができるといったような考え方が生まれてきているわけです。

 そういったなかで、確かに道徳的、倫理的な保守主義者たちは、「え? そんなことはあり得ない」と言います。そして、全世界的には約75%の人々が、どちらかというとロシアと近く、「男女っていうのは、違うものだ」と主張するわけですね。

 ただ同じように、ヨーロッパがこの社会的実験を「進めすぎると」、もしかするとヨーロッパの保守層にもそういった「男女というのは、違うものだ」という考え方に共鳴するような人たちが増えてくるという可能性はあると思うんです。そうすると、ヨーロッパの保守層も「ロシアが正しい」と思うようになるのではないでしょうか。

https://news.yahoo.co.jp/articles/fe3fff2b5859a62e7992504047e7af364bf06780