タイタニックのツアーリーダー、危険愛する男-安全は無駄と語る
Laura Nahmias、Guillermo Molero
2023年6月22日 7:53 JST
更新日時 2023年6月22日 14:38 JST
安全でいたいならベッドを出ず、自動車に乗らず、何もするなと発言

少なくとも元社員1人と海洋学者らは安全手順に警鐘を鳴らしていた

沈没した英豪華客船タイタニック号の海底探索ツアーで消息を絶った潜水艇「タイタン」を所有する運航会社オーシャンゲートの共同創業者で、最高経営責任者(CEO)を務めるストックトン・ラッシュ氏は「安全は全くの無駄だ」と過去に発言していた。

  ラッシュCEOは CBSのデービッド・ポーグ記者との2022年のポッドキャストで、「ただ安全でいたいなら、ベッドから出ず、自動車にも乗らず、何もするなという意味だ。ある時点で、人は何らかのリスクを負うことになるだろう。全くリスクとリターンの問題だ」と語った。

  ラッシュ氏と他の4人が搭乗したタイタンは、残る酸素が約16時間分と推定され、懸命の捜索が続けられている。そうした状況で、同氏の考え方があらためて注目される。

  オーシャンゲートの少なくとも元社員1人と海洋学者らは、5年以上にわたり同社の安全手順に警鐘を鳴らしていた。

09年創業で米ワシントン州エバレットを拠点とするオーシャンゲートは、タイタニック号の残骸を探検するタイタンの貸し切りツアーを21年夏から運営。ツアー料金は1人25万ドル(約3550万円)と高額だ。

同社はブルームバーグ・ニュースの取材にコメントを控えた。

  人がほとんど立ち入らない深海の探索用に設計された実験機のタイタンは、規制のほぼ対象外であり、乗船が死亡リスクを伴うことが参加者にはっきり告知されていた。

  タイタンに搭乗予定のツアー客は、死亡のリスクに繰り返し言及した安全免責同意書に署名した。カーボンファイバー(炭素繊維)とチタンでつくられた円筒状のタイタンは、初歩的なビデオゲームコントローラーで操作し、衛星利用測位システム(GPS)さえ装備していない。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-06-21/RWMIILDWRGG001

ストックトン・ラッシュ氏「今欲しいものは空気」
https://i.imgur.com/WQVQthF.jpg