看護師の西島暁子さんは「ある患者さんの場合、自分ではほとんどなにもできなくなってしまった。トイレは10年単位で汚れが蓄積し、便座も真っ黒な状態で、訪問看護師による生活面のケアが必要だった」という―

Bさんは統合失調症で病識がなく、関わるのが非常に難しかったケースの一つです。

被害妄想が強く、高校生のときの同級生に対して強い妄想を抱いていました。

Bさんいわく、同級生が夜間自宅に乗り込んで、さまざまな嫌がらせをするというのです。もちろんそのような事実はいっさいありません

しかしBさんはそうした妄想を抱いたあげく、恨みつらみを書き連ねた手紙を同級生に送りつけたり、
さらには夜中や明け方に同級生の家に押し掛けてドアをガンガン叩きながら怒鳴り散らしたり、非常に迷惑な行為を繰り返していました。

こんなことをすれば当然、相手は警察を呼びますから、これまでに何度も警察沙汰になって警告を受けていました。

ある時、Bさんは私にそばをごちそうしようと、訪問時間の何時間も前に注文して待ち構えていました。

行ってみると、何時間も前に注文したそばがテーブルの上に置かれていました

このようなときに下手に断ると逆上させてしまうかもしれません。そのため、私は妄想を延々話し続けるBさんの隣で、ドロドロに伸びきったそばをすすりました。

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