師匠・杉本昌隆が綴る「藤井聡太と過ごした時間」
"天才"を弟子に持つ「師匠の苦悩」と独特の関係

4月である。気持ちがリフレッシュされ、春の暖かさも相まって何となくウキウキする季節でもある。

新年度もスタート。新社会人、人事異動、新しい上司と部下。
出会いは楽しみもあり、少々不安でもある。

私は最近「杉本師匠」と呼ばれる。
なぜ師匠なのか?
今更だが、それはあまりにも有名な弟子、藤井聡太二冠の存在ゆえである。

将棋界の師匠と弟子の関係は、会社で喩えるなら上司と部下。
だがその出会い方は様々である。

将棋界では原則、プロを目指す少年少女は棋士の養成機関「奨励会」に入会する。
このとき師匠が必要になり、身近な棋士にお願いすることになる。
その棋士が受けてくれるとは限らず、これは縁のものである。

厳しい世界だけに師匠側から弟子をスカウトするケースは少なく、
私も自分から声を掛けることは決してない。
しかし、とてつもない才能を持った子どもに出会ったとき、その主義が揺らぐことがある。

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