「マイナンバーカードは壊れやすく、申請書も多すぎる」住民と自治体職員の不満を増幅させた“デジタル行政の金縛り”

「使い道がないカードのパスワードは覚えられるわけがない」現役自治体職員が激白“ここがヘンだよマイナンバーカード” から続く

 噴出するマイナンバーカードの問題。だが、カードそのものの利便性はどうなのか。 #1 では住民の使い勝手や利便性について、自治体の現場職員が感じている問題点を聞いて回った。では、職員の事務作業に変化はあるのか。オンライン化が進み、さぞや省力化しているに違いないと思いきや、逆に「手間が増えている」という不満が渦巻いていた。

「はっきり言って、職員の負担は増えました。届け出をする住民の皆さんからすると、楽になった部分はあると思いますけれど」。ある市の職員が漏らす。例えば、引っ越しなどの手続きだ。

 国が運営するオンラインサービス「マイナポータル」を利用すれば、2023年2月6日から全ての市区町村で転出届を出さなくてよくなった。転出届はオンライン上で提出が可能になり、住民が足を運ぶのは転入手続きをする自治体窓口だけになったのである。しかも、転入(転居)届を出す日にちも「予約」できるようになった。

 気をつけておかなければならないのは、転入(転居)届もオンラインで手続きができるわけではなく、あくまで届けを出しに行く日づけを事前に連絡するだけだ。政府は「予約」と表記しているが、時刻まで指定できるわけではない。

 転入先の市区町村では、新たに住民になる人から「来庁予定」の連絡を受け、窓口の職員が必要となる書類を準備する。これがかなりの事務量になっているという。「平常時はこなせますが、窓口が混雑する春の異動時期にはかなりシビアになります。日中は窓口対応でバタバタして終わるので、夜中に準備することになります」と、ある市の職員が話す。
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