トルコからの来日には短期滞在査証(ビザ)免除の仕組みがある。1990年代以降、川口市や隣の蕨市でトルコ政府による迫害を理由とするクルド人が身を寄せ、多くが難民申請をした。入管施設収容を一時的に解かれた「仮放免」の人々も少なくない。埼玉県のクルド人は約2000人、解体業者は100以上あるといわれ、料理店が急増した。

2月のトルコ大地震の被災地出身が多く、支援者は「地震を機にさらに数百人が来日した」と指摘する。

中東のアナトリア半島にトルコ共和国が建国して今年で100年。来日の容易さから埼玉県南部でトルコ少数民族クルド人、名古屋周辺に黒海沿岸のトルコ人らが集まり、近年、本格的な中東料理店や菓子店、礼拝所が増加している。
人手不足の解体業の従事例が多く、外国人に頼る日本社会の一角を占めつつある。


「売り上げが3倍に増えた」。トルコ菓子バクラワ販売の「ベイザーデ・バクラヴァ」(愛知県愛西市)経営、アフメット・ドゥルスンさん(47)は喜んだ。名古屋一帯のトルコ人客を狙い2019年に東京から移転、好調で新店舗も計画する。

名古屋市近郊の津島市などはトルコ北部オルドゥ県ファトサや周辺の出身者らが親族を頼り来日、解体業で働く例が多い。出稼ぎの成功を描いたドキュメンタリー番組「さよならファトサ」も作られた。約4000人が来日したとされる。

22年にはイスラム教礼拝所「津島ジャーミイ」も開所、料理店や食材店が集まる。ファトサ出身、イルハンさん(35)=仮名=は「日本なら月給が8倍と聞いた。ずっと住みたい」と話した。

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