山崎氏は拘束する権限をもつ精神保健指定医だ。

「拘束? してますよ」

心は痛まないのか。

「はあ? 治療の一環で拘束しているわけで、それを全然現場を知らないきみが土足で入ってきて、
心痛みませんかって何なの? 失礼だよ」

当事者は拘束しないでほしいと強く望んでいる。

「できないね。拘束して治療のプログラムに乗せるのが今の法律上の建前だ」

なぜ日本だけこんなに拘束件数が多いのか。

「海外は入院させないからだ。デポ剤(持続性注射剤)打って帰しちゃう。入院が少ないから拘束数も少ないんだよ」

じゃあ日本も今後は病院ではなく、地域で見守る態勢に本腰を入れるべきだ。

「地域で見守る? 誰が見てんの? あんた、できんの? きれいごと言って、結局全部他人事なんだよ」