今回の旅で私が得た最大の収穫は、フィンランド人が「喜び」よりも「心の安らぎ」を重視していると知ったことだ。フィンランド滞在2日目、私はサイマー湖周辺の散歩ツアーを主宰するガイド、ティモ・アウヴィネンと出会った。

「フィンランドが世界一幸福な国である秘訣は何でしょうか?」と彼に尋ねてみた。

すると彼は、「フィンランドには幸福の追求に関する格言がいくつかあるんですよ」と軽く笑った。「悲観主義者(ペシミスト)は決して失望しない」、「幸福は涙で終わるのがお決まり」、「どんなに悪くても良いことが一つもないものはない」など。

「そもそもフィンランド人は期待などしていないから失望しようもなくて、もっとニュートラルな心の安らぎが得やすいのでは」と彼は言う。

フィンランド人はやはり大切なことに気づいている。

すべてを手に入れようと躍起になるのではなく、温かいコーヒーや見知らぬ人への親切、無料で利用できる公園、美しい木々など、私たちがすでに持ち合わせているものを最大限活かす努力をすべきではないだろうか? キリのない幸福追求にうつつを抜かしているうちに、大切な何かを置き去りにしているのではないだろうか?

私たちは“喜び”の追求に余念がないが、昔ながらの“心の安らぎ”に満たされるべきなのだ。そして、ときには公園を散歩してみよう。

https://courrier.jp/cj/332032/