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「技術と生き方は職人の見本」99歳の爪ヤスリ職人が勇退へ 新潟・燕市
間もなく100歳を迎える爪ヤスリ職人が新潟県燕市にいます。60年以上業界をけん引しその働く姿は、多くの人の模範だとして17日、燕市から表彰されました。
ぶれることのない集中力で、両足・両手を使い機械を操作するこちらの女性。
来月4日で100歳を迎える岡部キンさんです。
岡部さんは、ヤスリの目をつくる目立て職人として、燕市の『柄沢ヤスリ』で60年以上働いてきました。
岡部さんの目立てた爪ヤスリは、鋭い切れ味で爪の仕上がりが滑らかになると評判で、惚れ込む客が絶えないといいます。
素晴らしい技術を持つ岡部さんですが、来月ついに引退することに…。
長年の功績を称え17日、燕市の鈴木力市長から『つばめ輝く女性特別功労賞』が贈られました。
【燕市 鈴木力 市長】「すごい、すごい方だなと。多くの職人にとって勇気を与えてくれるそんな偉大な方なのでは」
90歳の時には新商品の開発に携わるなど、常に挑戦を続けてきた岡部さん。
【岡部キンさん(当時91)】「どうなったら柔らかく目がすれるか、粗いとゴツゴツしていて感触が悪い」
時には、工場を飛び出て爪ヤスリの良さを百貨店でPRも…。
【岡部キンさん(当時96)】「機械で作ったものよりも、手で作った方が目が深く入るのでいいと思います」
工場に勤めて60年以上、体調不良で休んだのは1週間だけだそうです。
その真面目な仕事ぶりは、工場の仲間にとって「当たり前にある刺激」だといいます。
【柄沢ヤスリ 柄沢良子 社長】「本当に真面目で負けず嫌いで、他の人が(1日)500本切ったって聞くと、『絶対明日は600本切る』っていう。みんなの手本だと思います。みんなで気を引き締めながら岡部さんを超えていきたい」
勇退まで1カ月を切り、工場の仲間は、岡部さんの技と生き方を少しでも学ぼうと1日1日を過ごしています。