特集:安倍政治の決算
 安倍晋三元首相が亡くなってから1年が経つ。
 激しい批判にさらされながらも熱狂的な支持を獲得し、たびかさなる選挙でも勝利し、8年8カ月余という憲政史上最長となる政権を実現した安倍元首相の存在感は、今も大きい。安保法制や異次元の金融緩和をはじめとする安倍政権の政策思想は、岸田政権にも受け継がれ生き残っている。
 しかし、「安定政権」のもとで多くの課題も噴出した。歴史認識をめぐる対立や沖縄の基地問題は安倍政権時代にこそ激化し、縁故主義や政治と宗教をめぐる利権構造は肥大化した。
 また、少子化対策は次世代に積み残され、女性や性的マイノリティの権利をめぐるバックラッシュも起きている。
 在任3188日のあいだに社会の何が変わり、何が変わらなかったのか。長きにわたって日本の舵取りを行なってきた安倍政治を歴史的に位置づけ、重層的に見つめ直す。
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