「ビッグモーター」保険金不正請求は我々の自動車保険にも影響する!? 車所有者全てに波及する「深刻な事態」はあるのか
コメント829件 7/24(月) 16:40

ビッグモーターの保険不正請求についての報道など見ると、皆さん2つの点を指摘して憤っています。

 ビッグモーターで購入したユーザーが「翌年からの保険料クラスが下がり支払う金額が高くなるのでは」という点と、「自動車ユーザー全体の保険料が高くなるのでは」という点です。

 しかし任意保険の制度を知っている人なら、どちらも「なんで?」と思うことでしょう。

 どうやらメディア関係の皆さんはクルマに乗らないのか、任意保険ってひとつしか無いと考えているのでしょうか。

 例えば、自分のクルマでイメージしてください。自動車保険を使うケースは2つあります。

 1つめは、自損事故までカバー出来る「車両保険」に入っており、自分で運転して壊したり、雹(ひょう)害にあったクルマの修理をしてもらうケース。

 2つめは、追突などされて被害者になり、相手の保険会社にお金を出してもらうケースです。

 1と2では大きな違いがあります。

 1だと自分の加入した自動車保険を使うのに対し、2で使われるのは加害者側の自動車保険から支払われます。

 1のケースだと、当然ながら車両保険を使えば翌年からの等級は下がるため、保険金の支払いが増えます。

 これはビッグモーター以外であっても、等しく同じ仕組みで運用されています。

 ただ、修理金額による等級の差は基本的にはありません。

 仮に20万円かかる修理に対し、今回のビッグモーターの件で報じられているように修理工場側が14万円のノルマ分の修理代を上乗せしたことで、トータルの修理代が34万円になったとしても、等級は同じだけ下がることになります。

 また自分の保険を使う訳ですから、請求明細も出てきます。ブツけていなかった場所まで修理されていれば、誰だっておかしいと思うことでしょう。

 ただし、もしユーザー自身が修理工場と共謀した(あるいは事前に知っていて黙認した)と認められる場合は、また話が変わってくる可能性があるかもしれません。

 一方で、2の事故被害者のケースで使われる保険は、基本的に加害者側にあります。

 もちろん事故の状況によっても異なりますが、100%先方の責任である場合には、自分の保険等級が下がるようなことなどないのです。

 強いて言えば、相手側の保険等級に影響があるものの、これまた金額に関わらず、もちろん利用した修理工場や販売店がどこであろうと、保険を利用すれば等級はダウンします。

 ということを知っていれば「翌年からの等級が悪くなる」という報道内容は「論点がズレている」とわかることでしょう。

 自動車業界からすれば、最初から「メディアはナニを言ってるんだ?」という状態です。

https://news.yahoo.co.jp/articles/225344e140ac23daa702f2c6730db1c5ef212584