>>22
会社としての倫理観はひとまず置いておいたとして、ここまで読んで頂ければ解る通り、少なくとも保険金の不正請求に関しては、顧客に対するデメリットがほとんどないのも事実です。

 このほかにもメディアでは、ドライバーで車体を故意に傷付けたりする手口も報じられています。

 追突事故などでバンパーの損傷が小さい時に、バンパー全体を交換するため、被害を大きくして加害者側の保険会社に請求するような時に使っているようです。

 したがって被害者側からすれば、バンパーの部分修理&塗装でなく、新品に交換となるため、語弊を恐れずにいえば「ありがたい」結果になります。

 むしろ、今回騒動となったビッグモーター不正の本丸は「悪事のデパート」にあると筆者(国沢光宏)は考えます。

 具体的に挙げると「諸費用の水増し」「コーティングしてないのに料金を取る」「使えるバッテリーにダメを出して交換するなど過剰整備」「中古部品を使ったのに新品部品の料金を取る」「買い取る際、事故車だと判明した時の減額をカバーする補償」など……もう怪しいケースがテンコ盛り!

 前出の「安タイヤで補償」も含め、ビッグモーターの倫理観を疑うものばかりです。

 つまり今回の保険金の問題は、あくまで氷山の一角だと考えます。

 そして繰り返しになりますが、我々自動車ユーザーが加入する自動車保険の仕組み自体に対しては、影響が及ぶことはないといえます。

[編集部注記:2023年7月25日、本文の一部を修正しました]

国沢光宏