あるとき何の気なしに,拾った石に絵を描いたところ,可愛い仕上がりになり,それを売ろうと思い立った。

 「猫なんかの絵を描いて原宿で並べて売ってみたんですけど,これが売れなかった。何でだろう思っていたところに,広告代理店に務めているという人が来て『面白いから』と名刺をくれたんですよ。
 食事でも奢ってもらえるかもと,さっそくその会社を訪ねたら,炭酸飲料の『リボンシトロン』のキャラクターグッズの仕事があるから,それを手伝わないかと言われて。
 『こんなの面白いんじゃないですか』と後日デザインを提案したら,採用されたんです。それで,レギュラーの仕事をやるようになって」

 その広告代理店の取引先には,菓子メーカーのロッテがあった。

 「『これ,やってみる?』と言われたのが,ロッテの食玩『ジョイントロボ』のデザインだったんです。『スター・ウォーズ』方式で,敵と味方を分けて戦わせるというストーリーのシリーズを作って。
 最近はどこの会社もストーリーを入れていますけれども,何十年も前,お菓子のオマケにストーリーを入れて,すべてストーリーが解決するという形にしたのはこれが最初だろうと思います。そこから僕は,ずっとストーリーを入れていく仕事をしています」

 その仕事ぶりはすぐに広まった。

 「トミー(当時。現在のタカラトミー)の『ゾイド』の初期パンフレットにもストーリーを書きました。なんでもそうですが,『こいつとこいつが因縁の戦いをした』みたいなことを加えていくと,子どもが喜ぶんです。言わばただの商品だったものに,キャラクターとして命を吹き込んでいたんですよね。カバヤ食品の専務からも『うちでストーリーを書け』と言われましたが,『ビッグワンガム』※のオマケにストーリーは無理無理って(笑https://www.4gamer.net/games/999/G999905/20230720045/