【7月29日 東方新報】経営再建中の中国不動産大手・恒大集団(Evergrande Group)が、延期していた2021年と2022年12月期の決算をようやく発表した。2022年末の負債総額は48兆円に達し、同年の中国の国内総生産(GDP)の約2%に達した。

 恒大の7月17日の発表によると、2021年12月期の赤字は4760億元(約9兆3650億円)、2022年は1059億元(約2兆835億円)で、合計5819億元(約11兆4485億円)の赤字となった。2020年は80億元(約1574億円)の黒字だった。2022年末の負債総額は2兆4374億元(約48兆円)に達し、1兆8000億元(約35兆円)の資産総額を上回って債務超過に転落した。

 中国では2020年から始まったコロナ禍により製造業や観光業などが低迷。不動産へ投資が集中し、不動産価格が高騰した。このため市民の不満が高まると、政府は「住宅は投機対象ではない」として2021年に規制強化を指示。地方政府はマンション購入を許可制にし、中古マンションの「参考価格」をつくって価格を事実上統制するなど、さまざまな規制を始めた。

 これにより、野放図な拡大路線を続けていた恒大は大打撃を受けた。2021年以降に資金繰りが悪化して建設中の住宅が放置され、各地で購入者の抗議行動が発生。2022年3月からは香港市場の株取引を停止している。

 恒大は経営再建について「広大で質の高い土地の蓄えがあり、不動産の引き渡し保証、段階的な債務返済、経営再開の堅実な基礎となる」と説明。保有資産を担保にして借り入れを増やし、サッカー競技場の建設用地を返還するなどして、建設工事の再開や物件引き渡しのための資金を集めている。

 ただ、恒大を会計監査した香港の監査法人・上会栢誠は2021年と2022年の決算について、「内容が適正か十分な証拠を取得できていない」として「意見不表明」の判断を示した。また、恒大は2022年12月末の時点で総額4000億元(約7兆8698億円)に上る1500件以上の訴訟を抱えており、資金繰り改善の足かせとなっている。

 不動産業界からは「恒大の巨額負債は想定されていたことで、決算を発表したこと自体が一歩前進と言える。今が底を打っている時期で、今後は回復していく」と楽観的な見方もある。

 中国の不動産関連産業はGDPの2割以上を占めるとされ、恒大の経営状況は不動産市場の象徴でもある。中国経済、ひいては世界経済を左右しかねない問題であり、立て直しが急務となっている。(c)東方新報/AFPBB News


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