新店が次々にオープンする「ガチ中華」。開店当初はおいしいのに、数カ月後に再訪すると味が落ちていたり、メニューが一変していたりすることがある。客から見えない厨房の裏で起きているのが、料理人の奪い合いだ。特に四川料理や広東料理の料理人は腕のいい料理人の取り合いになっており、ガチ中華のオーナーたちは料理人の確保に頭を悩ませている。
四川料理シェフは地元で働いても月給30〜40万円

日本人向けにアレンジせず中国の本場の味を再現した「ガチ中華」の店が都内を中心に増え始めて数年、勢いはいまだ衰えず、最近ではこれまで日本では食べられなかったマニアックな郷土料理を提供する店も出てきた。それでも王道は依然として四川料理の店だ。花椒(中国のコショウ)や唐辛子がたっぷり入った麻辣(マーラー)料理は中国全土で人気が高く、日本でも在日中国人狙いの四川料理店が引きも切らない。

ただ、一気に店が増えたことでオーナーたちは四川料理の料理人不足に直面している。ガチ中華が集積する江戸川区小岩の四川料理店「楽串」を2021年にオープンした袁さんは、四川料理を作れる料理人を募集しているのだがなかなかいい人材が見つからないと嘆く。

「私は四川出身だし、自分が納得する腕を持つ料理人を探したいのですが、見つかりません。四川省で腕のいい料理人は給料も高く、円安だと日本の給料が安く感じるので日本に来たがらないんです」

袁さんによると四川省成都市の腕利きの料理人の月給は1万5000元(約30万円)が平均的な水準。料理長レベルだと月2万元(約40万円)に達し、勝手が分からない日本で料理人として働くメリットを感じられないそうだ。日中間での待遇差がほとんどなくなり、日本から中国に戻った料理人も多い。特に大型店や複数店舗を構える店は料理人の確保にかなり苦労している。

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