防衛省は18日、元陸上自衛官の五ノ井里奈さん(23)による性被害の告発を受けて同省と自衛隊の全組織で実施したハラスメントに関する特別防衛監察の結果を公表した。調査対象とした1325件のハラスメント被害申告のうち、6割超が相談員や相談窓口を利用していなかった。被害を相談しても相談員の対応に問題があるケースが多く、相談制度が機能不全に陥っていた。同省や自衛隊は報告書を基に改善策を進める。

 また、今回の調査でこれまでにハラスメントを認定した幹部職員ら8人を停職12カ月などの懲戒処分にした。現在も関係機関が調査を続けており、被害が確認できれば処分する方針。

 調査は五ノ井さんの性被害問題を受けて、昨年9月に開始。同11月末までに1414件の申告があり、申告者が同一の事案などを精査して1325件(パワハラ1115件、セクハラ179件など)を対象に聞き取りなどを実施した。

 調査の結果、850件(64・2%)が組織の相談員や相談窓口に被害を伝えていなかった。理由は「相談しても改善が期待できない」「相談先を知らない」「相談できる雰囲気・環境ではない」などで、加害者からの報復や「犯人捜し」を恐れて相談しないケースも確認された。

 相談員や窓口に被害を訴えたのは400件(30・2%)あったが、「加害者が相談者の上位階級だったため適切に対応しなかった」と相談員が事案化を避けようとしたり、「仕方ないですねと言われた」「一方的にハラスメントに当たらないと言われた」と対応が消極的だったりしたと受け止め、被害者が納得していないケースが多数あった。

 さらに、職場で管理者的立場にある上司の対応では深刻な事案も多く、「ことを大きくすると職場にいられなくなるぞ」と口止めを迫られたり、「指導には厳しさも必要」「お前のせいで指揮官職から外される」と言われたりする事案もみられた。

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