>>68
さて、歴史的な背景と、BttFのストーリーを総合して考えてみましょう。

・かつて市長であった白人が

・福祉に力を入れ、どんな人にも教育の門戸を開いた結果

・今では町はずれのホームレスになり

・かわりに今の市長は黒人

ロバートゼメキスは家父長制主義的で、白人至上主義的な価値観に染まっているというのを前提にすると、彼はこう語っているのではないでしょうか。

「あのとき “逆差別” で黒人に知恵を与えた結果、俺たち白人が食いっぱぐれてしまった!」

――と。

さらにはマーティとドクの思い出深い「時計台」は伝統的な建造物であるにもかかわらず、黒人市長の手によってを取り壊そうとされています。かと思えば、やっぱり後世まで残ったり。

だからこそBttFの85年の現在に「黒人市長」の存在が必要だったのです。あれも伏線、これも伏線。何重にもトリックを仕掛けることのできる映画作家だからこそ可能な高度な皮肉がそこにはありました。