神戸市東灘区の郵便局に刃物を持って押し入ったとして、強盗未遂などの罪に問われた住所不定、無職の男(69)の判決公判が28日、神戸地裁であった。金川誠裁判官は懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役5年)を言い渡した。

 判決などによると、男は5月16日午後0時15分ごろ、同区森北町1の神戸森郵便局を訪れ、女性職員に文化包丁を向け、「お金を出してください」と脅迫した。女性は逃げるなどし、被害はなかった。

 金川裁判官は、金銭を要求した被告の言動を「言葉は丁寧で穏当だが、至近距離で包丁を見せつけ、犯行は強い恐怖を与えるもの」と指摘した。パチンコなどでできた借金の返済が目的だった点には「身勝手で同情できない」と断じた。

 一方、被告の反省態度などを踏まえ、「高齢の被告をすぐに服役させるのはいささか酷だ。今回に限って社会で立ち直る機会を与えるのが相当」とし、「自分の力で立ち直る努力をしてほしいと考えた」と述べた。

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