東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出をめぐっては、科学的に安全性が証明されても、放出が数十年続くことへの漁業者の抵抗感は根強い。政府は風評被害対策など支援に全責任を持つと強調。予算確保済みの基金を最大限活用する構えだ。ただ、処理水の放出は数十年に及ぶため、放出開始後も必要に応じた政策対応は欠かせない。

「国が全責任を持って、処理水の放出、廃炉を安全に完遂する」。21日の記者会見で西村康稔経済産業相は強調した。

ただ、同日の岸田文雄首相と全国漁業協同組合連合会側の面談でも、全漁連の坂本雅信会長は処理水の海洋放出に反対の姿勢を崩さなかった。加えて、今後は漁業者への具体的なフォローアップが必要としている。

政府は風評被害対策として企業の食堂への水産物の提供や広報活動に約300億円、漁業の継続支援などに約500億円の基金をそれぞれ活用。漁業者の支援に全力をあげる構えだ。
https://www.sankei.com/article/20230821-ZCVSSFA4PVNNRB7RZV34HQKWM4/