これは「新・ウッドショック」なのか?木材業界で相次ぐ大型倒産、危機感高まる(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュース
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●計画通りに進まなかった バイオマス事業

 征矢野建材は1977年、地元の老舗木材商社の建材部からのれん分けする形で創業した。当初は卸売り主体だったが、同社もまた1994年にプレカット・製材工場を新設し、製造販売の業態に転換して事業を拡大した。工場での製材・プレカット加工に加え、住宅向け中心に建造材、無垢フローリング、合板、住宅設備機器など幅広い商材を取りそろえた。

 特殊な加工技術を持つユニークな会社として評価を高めるなか、大きな転機になったのが新事業として進めた木質バイオマス発電事業だ。

 長野県や塩尻市と連携し、「信州F・POWER プロジェクト」の名称が付いたこの事業は、長野県の森林資源の活用、林業・木材産業の振興、ウッドチップを使った再生可能エネルギーの普及、森林バイオマス資源の活用など、各方面から多くの期待を背負って誕生した一大プロジェクトだった。

 プロジェクトの中心は、同社が建設した木材加工施設「ソヤノウッドパーク」とそこに隣接して造られたバイオマス発電施設だった。発電施設は、同社や県内大手企業などが出資したソヤノウッドパワー(株)が建設し、2020年に本格稼働にこぎ着けた。

 ところが、ここで想定外の問題に直面する。バイオマス発電に使われるウッドチップが集まらなかったのだ。チップは長野県一円から調達される計画だったが、発電量に対する原材料を長野県内だけで賄うのは難しかった。こうした甘い計画が露呈するとともに、ウッドショックによる木材価格高騰にも見舞われ、チップ原料の原木確保がますます難しくなった。

 征矢野建材はソヤノウッドパワーとの間で、一定量のチップを確保する契約を結んでいたことから、プロジェクト向けチップの生産コストがかさんだ。さらに、全量確保できない場合は補償金を支払う取り決めがあり、支払い義務が生じた。もともとソヤノウッドパークの設備投資に多額の資金を投じていただけに、これらの負担が征矢野建材の事業全体の足かせになっていった。

 資金難に陥った同社は金融機関への借入返済は利払いのみで、長期にわたって返済猶予を要請する状態が続いていたが、元金返済の見込みが立たず民事再生での再建に踏み切った。