死んだはずの母からの留守電
ある女性から依頼された留守番電話の音声解析は、村岡さんを戸惑わせた。

きっかけは、依頼者の女性のもとに奇妙な留守番電話が入ったことだった。
老婆と思しき声が入っていたが、ノイズ音が激しく判別することができない。

彼女が単なる間違い電話で済ますことができなかったのは、その日付が3月11日だったからだ。
しかも、数年前に高齢の母を東日本大震災の津波で亡くしていた。

「たとえ幽霊でもいいから声を聞きたいと思ったんでしょう。『きっとあの日に亡くなった母からの電話じゃないか』と言って、
僕に音声解析を依頼してきたのです。ただ、科学的には絶対にありえない話なんですよ。

それでも音声解析をしてみていくつか分かったことがあります。ひとつは、ノイズだと思っていたのは激しい水流の音だったこと。

もうひとつは、声の主は高齢の女性だったこと。ただし、何を話しているかまでは聞き取れませんでした。

そして最後、電話の主は公衆電話からかけてきていたことが分かりました。
しかも、本当に微かに公衆電話を切った時のカチャンという音も入っていた。

依頼者の方にはこの3つの事実だけ記した鑑定書をお送りしました。

多くの方はきっとオカルトの類だと思われるかもしれませんし、私もそういった霊的な現象を信じる気にはなれません。
でも、この鑑定結果をどう捉えるかは依頼者の自由です。どんな音でもその方の人生の糧になるならそれでいいと思います」
https://gendai.media/articles/-/114829?page=1&imp=0