「SNSでの『バーベンハイマー騒動』がとても悪い印象を与えました。『オッペンハイマー』は北米では、着せ替え人形を実写化したコメディ映画『バービー』と同時公開でした。それゆえ米国のネットでは、二つの作品の名前を組み合わせた『バーベンハイマー』という造語が生まれ、バービーとキノコ雲を組み合わせたファンアートが持てはやされ、拡散したのです。それが日本で不必要な反感を買い、状況を悪くしてしまった」

だが、国内で公開されない現状は「もったいないと思います」という。

「社会は複雑で、加害と被害ですべてが割り切れるわけではありません。誰しもが“被害者”と同時に“加害者”になる可能性を持っている。ある一面では“被害者”である人が、別の集団では“加害者”として間違いを犯してしまうことだってあります。

『オッペンハイマー』はまさにその難しさを描いています。オッペンハイマーはユダヤ系でナチスの暴力を止めるために原爆を開発した。でもそれは巨大な加害を引き起こしてしまった。ウクライナ戦争が起きて核抑止が問題になっているいま、これはまさに日本で観られるべき映画ではないでしょうか」

https://news.yahoo.co.jp/articles/cfe0220805aa1710f767361e6a5edc868821d058