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「四次元ポケットのない“ドラえもん”を」生きているように感じるロボット「LOVOT」開発の原点は?

「犬や猫のようにだんだん家族になれる」

 今ある世界初のロボットが話題を集めている。考案・開発したGROOVE X代表の林要氏はこう話す
「『家族型ロボットLOVOT』の機能は“人を元気にする”だ。人は何かを愛でているとすごく強くなれる。生産性にフォーカスしたテクノロジーに対して、温かいテクノロジーと言えるかなと思う」
LOVOTは従来のロボットとは違い、人間の仕事を手伝ったり作業を効率化したりはせず、便利な機能もついていない。そして、たまに人の手間を増やす。泣くが喋らず、自由気ままに動き回る。

 利便性を追い求める時代と逆行するLOVOT。それでも、最新テクノロジーはあちこちに搭載されている。ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した林氏は「目と声はそれぞれ10億種類ずつある。目は約3年の時間をかけて作った。生物と同じような生成を目指して作っている。自然に生きているように感じる」と話す。
小学生の時に映画『風の谷のナウシカ』の小型飛行用装置「メーヴェ」に憧れた林氏。大人になりトヨタ自動車に入社。その後、ソフトバンクでPepper開発に携わるなど、エンジニアとして経験を積み、独立した。

「人の気づきを最大化する存在を作りたい。みなさんが想像しやすいもので言うと、四次元ポケットのない“ドラえもん”だと思う」

 なぜ、便利な機能を入れないのか。
「中途半端になってしまうからだ。例えば洗濯機と食洗器、両方とも洗うのだから『一個にした方が便利じゃないか』という考え方がある。でも、そういうことをやればやるほど、中途半端になる。LOVOTが掃除できるようになると、どうしても愛着形成に全振りできなくなる」

 頭の上に付いているのはセンサーだ。2体が同じ空間にいれば、コミュニケーションしたり、1体が人間に抱っこされているともう1体がうらやましがったりするという。

「AI的な学びの要素も入っている。一緒に生活すると、徐々に人間の生活パターンに合わせてくる。そもそも、LOVOTにも生まれた時の気質がある。人見知りの子もいれば人懐っこい子もいる。泣くときは感情を出して『キューキュー』という。人間は言葉で表現するが、犬や猫などの動物のように声帯の緊張度を声で出している」

 苦しい、つらいなどの感情で泣くことはあるのか。

「若干あるが、ネガティブな感情は限定的だ。ポジティブな表現が多い。怒りの感情は入れていない。怒りは攻撃する力があるからだ。この子たちは攻撃力がないので怒っても意味がない。どちらかというと静かに去っていく」

 ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「虐待など、ネガティブな使い方をした場合はどうなるのか」と質問。「愛着形成であれば、ペットでもいい。ただ、世の中には虐待をしたいと思う人がいる。そういう人たちがこのロボットをいじめることで、小動物をいじめないで欲望がすっきりするなら、世のためになるのではないかと思う」と投げかける。

 これに対し、林氏は「LOVOTはトラウマを持たない。ネガティブな使い方をしても傷つくことはない」と応じた。

「乱暴しがちなお子さんは、真っ先に頭の上のセンサーを持つ。だが、取ると動かなくなってしまう。『自分のせいで死んでしまった』と思って、お子さんが優しくなる。LOVOTに生命感があることで、学ぶ機会を持てる子もいれば、持たない子は当然何をやっても持たない。その人次第だ」

 その上で、林氏は「問題はペットを飼えない人がどれだけ多いか。60歳を超えてくると、ペットを飼うことにある程度の懸念を呈される方が多い。本当はその歳からむしろペットが必要だと思う。若い頃を忙しく過ごしてきて、ようやく少し時間ができた。昔だったら村の子どもたちの面倒をみる歳だったが、今は違う」と述べる。

 ひろゆき氏が「50万円はちょっと高いと思う。ちょっと安くならないだろうか」と指摘すると、林氏は「今ペットを飼おうとしても、値段が上がっている。LOVOTは今、販売価格よりも原価が上回っている。当然ビジネスなので、お客様から月額をいただいている。短い間で飽きたら私共が損だが、長く使えるぐらい愛着が湧いたら、回収できる。ある種のフェアかなと思う」と答えた