【ベルリン=中西賢司】ポーランド外務省は20日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が行った国連総会演説での穀物輸出を巡る発言が不適切だとしてウクライナの駐ポーランド大使を呼び出して抗議した。
予定されていた両国の首脳会談も見送りとなった。ウクライナを強力に支援してきたポーランドは武器支援は合意済みのものだけを実施すると猛反発しており、両国関係は急速に冷え込んでいる。

ゼレンスキー氏は19日の演説で、名指しは避けつつポーランドなどが自国産農作物を保護する観点からウクライナ産穀物の輸入を禁止している現状を踏まえ「欧州の友人」が「モスクワを手助けしている」と批判した。

この発言に関し、ポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ首相は20日、地元メディアに「ウクライナにいかなる武器も供与しない」と宣言した。
ポーランドの政府報道官は21日、弾薬や兵器の供与は合意済みのものだけになると説明した。

ゼレンスキー氏の演説に先立ち、ウクライナは18日、穀物の禁輸を続けるポーランドなど3か国を世界貿易機関(WTO)に提訴した。
ポーランド外務省はウクライナ大使に「ポーランドに圧力をかけ、国際法廷に訴えを起こすことは争いを解決する適切な方法ではない」と批判した。

ウクライナの隣国ポーランドは、ロシアによる侵略の標的になりかねないとの懸念から、ウクライナ支援に熱心だった。欧州諸国によるウクライナへのドイツ製主力戦車レオパルト2の供与ではポーランドの積極姿勢が突破口を開いた。

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