クモの糸を吐く
遺伝子組み換えカイコから防弾チョッキ用ケブラーの6倍丈夫な繊維が生産可能に

中国東華大学の科学者たちが、遺伝子を組み換えたカイコからクモの糸を合成し、
防弾チョッキに使われるケブラーの6倍も丈夫な繊維を作り出したと発表しました。


東華大学のミ・ジュンペン氏らは、遺伝子編集技術のCRISPR-Cas9を用いて
編集したプラスミド混合物を卵に注入し、クモの糸を紡ぐカイコを誕生させました。

カイコから得られた繊維はケブラーの6倍以上の靱性を持ち、引張強度も優れていました。
カイコの糸はシルクとして流通していますが、クモの糸ほど強靱ではないため、
主に衣服などに利用先が限られています。

一方クモの糸は合成繊維に並ぶ強力な繊維として知られていますが、
クモの共食いの性質により商業化が困難です。

今回の研究により、人工的に生成したクモの糸以上に強靱な繊維の商業化が
促進されることが期待されます。
https://i.imgur.com/SkXNzYt.jpg
https://www.cell.com/matter/fulltext/S2590-2385(23)00421-6

・ケブラー(Kevlar)とは
国のデュポンという会社によって1965年に開発された特殊な繊維です。
強度に優れ、耐熱性のような特定の機能を強化してあるプラスチックで、
世界初の“スーパー繊維”です。

「ケブラー」は、軍用のヘルメットや防弾ベストなど、コストよりも極限の
性能を求められるような特殊な製品に使われることが多い素材としても
知られています。

強度が非常に高く、同じ重さの鋼鉄の5倍の引っ張り強度や耐熱・耐摩擦性を
持っています。しかもプラスチックですから、錆びてしまわず、電気を通すことも
ありません。切り傷や、衝撃にも強く、さまざまな形態にできます。