ハマスが狙う、パレスチナ自治政府の“利権”
https://www.fnn.jp/articles/-/599618
実はハマスのテロ攻撃の背景には、日本の「専門家」がほとんど言及しない問題がいくつもある。
ひとつ目はパレスチナ内部の抗争だ。
現在、国際社会においてパレスチナ人の代表とされているのはパレスチナ自治政府である。パレスチナ自治政府は1994年、パレスチナ解放機構とイスラエルによるオスロ合意に基づき設立された。
重要なのは、パレスチナ自治政府が世界中から集まるパレスチナ支援金の主たる受け皿となっている点だ。日本もパレスチナに対し、ここ30年間で23億ドル(約3400億円)を支援している。
パレスチナ自治政府はこうした支援金で運営されているのだが、支援金の一部は汚職に消える。その割合は少なくない。
ハマスが狙うのは、このパレスチナ自治政府が独占している利権だ。
自分たちがパレスチナの正当な代表となれば、世界からの支援金をほしいままにできる。
ハマスは「清貧の戦士」などでは全くない。
カネに目がない金満テロ組織だ。
年間7億ドルの収入があるとされ、ハマスの指導者イスマイール・ハニーヤはカタールの高級ホテルに暮らしている。
ハマスの幹部も軒並みカタールかトルコで豊かな生活を送っている。
彼らはいつも、ハマスのテロやガザ空爆をカタールの放送局「アルジャジーラ」の画面で眺める。
高みの見物だ。
ハマスがパレスチナ自治政府にかわりパレスチナ人の正当な代表となるためには、何よりもパレスチナ人たちの支持が必要だ。
だから彼らは度々、勝てるわけがないにも関わらず、イスラエルに対して無差別テロ攻撃をしかける。
ロケット弾がイスラエルに向けて次々と発射され、それがイスラエル人を殺傷すれば、人々は喜んで祝福する。
ハマスはイスラエルの音楽フェスを襲撃
今回はロケット弾だけでなく、1000人以上のハマスのテロリストが越境してイスラエル領内に入り、音楽フェスに参加していた若い女性たちを次々と陵辱して殺害したり、集団農場(キブツ)に暮らす人々の家に次々と突入し、女性や子供を後ろ手に縛って処刑したり、乳幼児を斬首するなど、筆舌に尽くしがたい蛮行を繰り広げた。
彼らはそれらを得意げに動画に収め、自らインターネット上に公開した。こうした一連の行為が、パレスチナの人々を喜ばせハマス支持につながると彼らは思っているのだ。
だからこそ彼らは「絵的に派手」なテロをする。これは「宣伝としてのテロ」なのだ。これでパレスチナの人々が、やはり我々の代表はパレスチナ自治政府ではなくハマスであるべきだと思うようになれば、ガザで武装蜂起したように、ヨルダン側西岸でも武装蜂起することができるかもしれない、と彼らは考えている。
成功すれば、パレスチナ自治政府にかわり、ハマスがパレスチナ代表の座に座ることも夢ではない。