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11/6(月)

統計開始以降最多になっているクマにより人身被害。一方で、駆除に踏み切った自治体に暴言や執拗な要求を繰り返す「カスタマーハラスメント(カスハラ)」とみられる抗議電話が寄せられたと報じられました。そんな中、タレントのデヴィ夫人が「アメリカでは、クマを麻酔銃で捕獲し、沢山の果物などの食物をつけて山に帰してあげます」とインスタグラムに投稿し、「いろいろ勉強不足のコメント」「すさまじくのんきなご意見だ」と批判が相次ぎました。

クマを駆除した際、必ずと言っていいほど上がる「麻酔銃で捕獲できなかったのか」というご意見。デヴィ夫人が唱える麻酔銃で捕獲して山に帰するというやり方はどこまで現実的なのでしょうか。

ミリタリー系のイラストや漫画を描いているXユーザーのねんまつたろう(@KITASAN1231)さんは以前、麻酔銃の理想と現実を漫画にして話題になりました。SNSで最初に公開したのは2020年10月ですが、その後麻酔科医から連絡があり、専門家から取材するなどして、内容、文言をブラッシュアップ。現場を知らない人が考える麻酔銃の理想と現実が描かれています。

【麻酔銃の理想】
・殺傷力はないので誰でも撃てる
・遠くから安全に狙って撃てる。外してもすぐ連発して撃てる
・命中すると一瞬で眠る

【麻酔銃の現実】
・麻酔銃は動物に薬をうてる資格のある人(基本的に獣医師)しか撃つことができない。動く熊を撃つ訓練をしたことがある獣医師は少ない
・射程距離はピストル型で15m、ライフル型で40m、連発はできない
・命中しても効果が出るまで時間がかかる
・当たりどころによっては効果が出ない。熊が興奮するリスクもある

人身被害件数が今年もっとも多いのは秋田県で61人、次いで岩手県が42人、福島県13人、青森県11人です。ねんまつたろうさんは大学進学までは青森が地元でした。「私自身は熊と遭遇したことはないのですが「出没した」「知り合いが襲われた」といったことは珍しいことではありませんでした。なので「怖い生き物」という印象があります」と話します。

2016年3月に環境省自然環境局野生生物課鳥獣保護管理室が発行している「住居集合地域等における麻酔銃の取扱いについて」では、漫画で描かれたような麻酔銃のメリットや注意点がまとめられています。

住居集合地域の麻酔銃の対象は原則としてニホンザル。ニホンザル以外のクマ類(ツキノワグマ、ヒグマ)、イノシシ、ニホンジカなどの大型獣類に麻酔銃猟を実施する場合、麻酔薬の効力が現れるまでに時間がかかり、撃たれたことにより個体が興奮し、従事者が反撃を受けたり、周辺の住民に重大な危害を及ぼす恐れがあるため、原則として許可されていません。

麻酔銃は、投薬器(ダート)を飛ばし、個体に薬液を注入します。容量が大きいほど必要とする力は大きくなり命中精度も下がります。体積に対して質量が低いため、風の影響を受けやすく、小さな枝葉にあたっても大きく弾道を変えてしまいます。投薬器は目で追えるスピードで飛んでいくので落差が大きく、周囲に障害物が無いか、特に注意が必要ーといった取り扱いの難しさがまとめられています。

全文はソースをご覧ください

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