ウクライナのジャーナリストなどでつくる団体「NGL.media」は、2023年11月、徴兵を逃れるために大学が広く利用されているとする報告を発表しました。

それによりますと、30歳から39歳で新たに学生になった男性の数は、ロシアによる軍事侵攻前の2021年には2186人だったのが、2023年は4万3722人と20倍に急増しています。

NHKの取材に応じた30代のウクライナ人の男性は、すでに大学を卒業していましたが、去年、再び大学に入学しました。

入学は、よりよい仕事を得るため新たな専門性を身につける目的だとする一方で徴兵の猶予も理由の一つだとしています。

男性には妻と、幼い2人の娘がいますが、侵攻が始まって以降海外に避難し、1年以上会っていないということです。

動員されて戦地でもしものことがあったときに、残された家族のことが心配だということで「もし戦闘で手や足を失ったとしたら、どうやって生活し誰が子どもを養うのでしょうか。現状では負傷した兵士などへの社会的な保護も十分ではありません」と話していました。

また「ロシアに対する怒りの感情で敵を殺しに行く人もいますが、私にはその準備ができていません。怖いのです」と話していました。

男性は、徴兵を避けるために、大学に入学する人は自分のほかにも大勢いるとしたうえで「給与や社会保障などとは関係なく戦場に行こうという思いにあふれた人たちは、もういなくなってしまいました。私たちは家畜ではなく、みずから選択する人間です。もしも兵士になってほしいのであれば、政府は、人々を追いかけ回すのではなく、みずから志願するように適切な給与を支払うべきです」として、ウクライナ政府が兵士の待遇改善などを進め、志願する人が増えるような環境を整えるべきだと訴えました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240107/k10014312851000.html