「戦略的防衛」に転換か ウクライナ、来年攻勢目指す

ウクライナ軍は今年、ロシアに対する「戦略的防衛」で戦力回復を図るとともに、来年再び反転攻勢に出る機会を探るという見方が強まっている。欧米の主要メディアが相次いで報じた。国際社会の一部には、ウクライナ東・南部4州の占領が続いたままでも停戦を実現するべきだという声が出ているが、ゼレンスキー政権はロシアとの妥協を望まず、あくまで戦闘を継続する考えだ。

「ロシア西・南部はウクライナ」 ゼレンスキー氏、大統領令で対抗

 ウクライナは占領地奪還を目指して昨年6月に反転攻勢に出たものの、望んだ戦果を得られていない。こうした中、英紙テレグラフ(電子版)は20日、ゼレンスキー大統領の命令で、塹壕(ざんごう)や対戦車障害物から成る防衛網の強化が始まったと報道。これらの構造物は、ロシア軍が、ウクライナの占領地で構築した防衛網「スロビキンライン」に似ていると指摘した。
 ウクライナは防衛重視に転じたもようだが、ゼレンスキー政権のロシアに対する不信感は強い。防衛重視への転換は停戦を念頭に置いたものではなく、防御を基本として敵を攻撃する「アクティブディフェンス(積極防衛)」で臨む戦略とみられる。ウクライナは、戦力を蓄えながらロシアを疲弊させて、主導権を取り戻すことを狙っている。
 欧米メディアが西側当局者の話として伝えたところでは、ウクライナは今年中は守備を固め、来年に再び攻勢を試みる構え。「今年は双方とも作戦上の突破口を開く可能性は低い」という。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2024012300844&g=int