節分の「豆まき離れ」が加速!恵方巻人気や騒音トラブルだけじゃない世知辛すぎる理由とは?
節分の風習は「豆まき」から「恵方巻」へ――。「鬼は外、福は内」の掛け声とともに鬼を退治するのが一般的だった節分に、「豆まきをする」人より「恵方巻を食べる」人の方が多いことが、情報サービス会社のアンケート調査で明らかになりました。豆を食べた子どもの窒息事故や衛生面の不安、マンションの騒音問題など、鬼退治どころではない昨今の状況が“豆まき離れ”を加速させているようです。
チラシ・買い物情報アプリ「トクバイ」を運営するロコガイド(東京)が1月12日~16日、インターネットで「『恵方巻・節分』に関するアンケート」を実施。アプリの利用者2353人の回答を集計しました。
節分の過ごし方を尋ねた質問(複数回答)では、「恵方巻を食べる」(75.7%)が最も多く、次いで「豆まきをする」(38.8%)、「年の数だけ豆を食べる」(36.0%)が続きました。恵方巻を食べる理由については、「縁起物だから」(74.1%)と「毎年恒例だから」(64.2%)という回答が多く、福を招く節分の行事食として定着していることがうかがえます。
関西発祥とされる恵方巻については、地域によっては自分が子どもの頃にはなかったという人も珍しくありません。七福神にちなんで、高野豆腐、かんぴょう、しいたけ、キュウリ、玉子焼き、穴子、でんぶの7種類の具材が基本とされていますが、最近では、マグロやサーモン、エビなどが具材の海鮮巻き、牛肉やとんかつなどを加えた肉巻きといった多彩なアレンジも見られ、恵方巻は性別、年齢、好みを問わず幅広い支持を得ています。
これに対し、日本トレンドリサーチ(東京)が行った「節分に関するアンケート」(2022年1月実施)によると、コロナ禍の影響もあって豆まきをとりやめる傾向が見られ、次のような声が寄せられたそうです。
「豆まきは衛生的に良くないとのことで、やらないと家族で決めた」(50代・男性)
「声を出すので豆まきはしなくなった」(50代・女性)
「落ちた豆を食べない」(50代・男性)
「学校や保育園でしなくなった」(40代・女性)
“豆まき離れ”は、コロナ禍だけが理由ではありません。2020年には松江市の保育園で、節分の豆まき行事の際に4歳の園児が豆をのどに詰まらせ、窒息死する事故がありました。これを受け、全国の保育園や幼稚園で節分の豆まきを廃止したり、豆の代わりにピンポン玉や丸めた新聞紙を投げたりする対策がとられています。
消費者庁も1月22日、硬い豆やナッツ類は子どもが気管に詰まらせる危険があるとし、節分の豆まきに注意を呼びかけました。同庁によると、2018年~2022年の5年間に食べ物による窒息や誤嚥で亡くなった5歳未満の子どもは43人。歯が生えそろわず、かみ砕く力や飲み込む力が十分ではない子どもが食べると、かみ砕いた豆やナッツの小さなかけらが気道に入って肺炎や気管支炎を引き起こす恐れもあるとしています。
昨今の住環境も“豆まき離れ”に拍車をかけます。東京都立川市のマンションに家族4人で暮らすパート女性(35)は、今年からマンションの掲示板に「節分の豆まきに注意」という貼り紙が掲示されたといいます。それには次のような内容が書かれていました。
〈1〉駐車場の車を傷つける恐れがあるため豆を外へ向かって投げない
〈2〉ペットが誤って食べてしまう危険があるため投げた豆を拾う
〈3〉騒音トラブルになるため大声を出さない
〈4〉住民に向かって豆を投げない
〈5〉階下に配慮し鬼は激しく動き回らない
今年は2月3日が土曜日のため、女性は子どものいる仲のいい家族が集まっていっしょに豆まきをする計画を立てていました。コロナ禍でここ数年、豆まきを自粛していた家庭もあり、鬼役を買って出る夫もいたそうです。ところが、この注意書きを見て、豆まきをやめて、恵方巻パーティーに変更しました。「伝統行事でも迷惑行為と思う人もいますから仕方ありません。でも、鬼がうるさいだなんて……」と、女性は苦笑いしていました
https://news.yahoo.co.jp/articles/7c1bd2b75af9188d260e6f1ec502015c55d3fa3f