「Vチューバー〝星咲みあ〟でいるときが、普通に生きるより、自分らしくいられるかも」

令和3年に個人で活動をはじめ、現在はチャンネル登録者数約1万人の星咲さん。アバターは、星の入った衣装と3色の髪色が特徴的な美少女だ。「ある日突然、何か面白いことがしたいと思い立ち、給料1カ月分くらいのお金を出して、自分の声に釣り合う外見を購入した。カタログショッピングみたいに」と笑う。

配信ジャンルはゲーム実況や雑談、歌など。お決まりの「こんみぁ~」というあいさつから始まる。

活動は試行錯誤の連続だった。当初は「Vチューバーたるもの、かわいくあるべし」と念じていたが、長時間配信などを経て、「どんどん化けの皮がはがれて」、今では完全に素の状態。「悪態もつくし、舌打ちもするし、中身はおじさんって言われる」と笑い、「それが良かったのかもしれない。自分そのままを面白いと肯定してくれる人たちがいたのは、うれしい驚きだった」と振り返る。

転機はスマートフォンゲーム「ヘブンバーンズレッド」の実況配信だった。泣かせる作品として名高く、星咲さんは感情をあらわに叫び、ほえ、のたうち回った。それまでせいぜい数十人単位だったリアルタイム視聴者数が、回を重ねるごとに100人単位で伸び、最終的に1300人へ。「私と同じ気持ちを共有してくれる人がこんなにいるなんて、想像したことすらなくて」感極まった。その後も勢いに乗り、リスナーを増やし続ける。

星咲さんは本業が別にあり、現在の配信は基本的に週末だけ。「配信回数の多い方が有利な世界だから、休むと忘れられるかも」という恐れもあり、プライベートをほぼ活動に充てる。

動画の広告収入は年間100万円ほどだが、防音壁などの機材や、節目ごとに用意する新規イラスト、「歌ってみた」など動画編集の外注の費用に消えていく。自治体や企業を宣伝するPR案件の報酬は個人の場合、微々たるもので収益の柱にはなりにくい。「正直、Vチューバーって赤字の人の方が多いと思う」。それでも、スパチャと呼ばれる視聴者からの投げ銭機能には頼らないようにしている。「リスナーに生命線を握られると、こびてしまいそう。楽しく活動を続けるために、自分らしさを失いたくない」


https://news.yahoo.co.jp/articles/c35cf995ac36fd60c137a51e780703a1e61280c4